パク・ジニョンが明らかにしたTWICE誕生秘話 “評価されること”の過酷さ、プレッシャーを乗り越えて

 冒頭で聞こえる少女のあどけない歌声。その主が、現在ではTWICEのボーカルを力強く支えているジヒョであることに気づくまで少しかかった。

Ep 2. 激しかったあの日、9人の練習生たちの話 | TWICE: Seize the Light

 デビューの切符をつかむまで10代のほとんどを練習生として過ごしてきた彼女の声は、メインボーカルとしてはもちろん、リーダーとしてグループの指針となる頼もしい響きを持つ。

TWICE『&TWICE』

 TWICEのデビューメンバーを選抜するオーディション番組『SIXTEEN』で自分がスターだと思う理由を問われた時、「私は、練習に長い時間を費やしました。人生の半分以上をかけたんです。ここまで頑張ることが出来たのは、自分自身に可能性があるからです」と堂々とした笑顔で答えたことからも分かるように、彼女の頼もしさは、そのたゆまぬ努力によって裏付けされる確かなものだ。

 しかし「その間ずっと幸せで充実していたとはとても言えません。くじけそうになっては何度も諦めかけました。苦しい時ばかりでした」というジヒョの言葉は、練習生時代の過酷さが9人に与えた痛みの存在をうかがわせた。

 ナヨン、ジヒョと共に別のグループでデビューする予定がうまく運ばなかったジョンヨンは「もう終わった」と本気で考えたことで、一時はパン屋のアルバイトをしていたこともあるという。またミナは、日本の高校を中退し韓国へ渡る大きな決断をとった当時のことを「正直とても辛かったです」「進むべき道を失ってしまうので本気でした」と振り返った。

「この道しかありませんでした。(芸能以外の)新しいことをするにも遅すぎました(ジヒョ)」
「毎日、同じことの繰り返しです。“いつか本当にこの状況が終わる日が来るのかな”と思った(モモ)」

 まるで退路を断たれたかのような不安とプレッシャーを抱えながら、出口の見えないトンネルを進む苦しみ。

 それは例えば、練習生時代に歌っていた発表曲「Santa Tell Me」について「この曲は評価されている気分になるのであまり好きじゃないんです。上手く歌わないといけないという重圧を感じるから」と打ち明けたナヨンや、現在放送中の『Nizi Project』(TWICEが所属する芸能事務所・JYPエンターテインメントが主催するオーディション番組)を見て「胸が痛くなる。人が評価されているのを見るのは辛い」と話すモモからも伝わるように、見事デビューを叶えた後も現在の9人の心に未だ刻まれる傷となっている。

「彼女たちが払う犠牲に心が痛み、“本当にこれが望み?”とよく尋ねました」「多くの犠牲を払っている彼女たちに申し訳なく思います」

 プロデューサーのパク・ジニョン(J.Y.Park)は正直な胸中を語った。

 9人が練習生として払った犠牲は、ファンとしてもどう捉えたらいいものか分からないほどに深刻だ。だからこそこのドキュメンタリーで語られる言葉は、感動と共に大きな戸惑いを残すものである。

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