『暗殺教室』とOPテーマ「黄色信号」の共鳴が生み出す強さ 友成空、メロディ×ポップセンスの結実

『暗殺教室』×友成空「黄色信号」の強さ

 テレビアニメ『暗殺教室』(フジテレビ系)の再放送がスタートした。原作コミックスは累計2700万部を超える人気作とあって注目度も高いこの作品。その新オープニングテーマに起用されているのが、友成空の新曲「黄色信号」である。

TVアニメ『暗殺教室』第1期再放送ノンクレジット・OP映像│♪新オープニング・テーマ:友成空「黄色信号」

 本曲は、攻撃的なリフやギターソロなどを織り交ぜながら、フルスピードで駆け抜けるロックチューン。歌詞は〈薔薇色〉や〈イエロー〉、〈アオい〉、〈真っ黒〉など、色をモチーフにした色彩豊かなワードチョイスが印象的。「枕草子」をわざと〈マクラノクサシ〉と読ませたり、〈生KILL〉や〈アカるい世界〉といった細かな仕掛けなど、遊び心のある作詞センスが光る。疾走感のあるエネルギッシュな音作りだけでなく、歌詞を読み込む楽しさもある楽曲だ。

 曲単体としての仕上がりはもちろんだが、原作に寄り添った作りも無視できない。たとえば、タイトルにも使われている“黄色”という色のチョイスは、同作に登場するメインキャラクター・殺せんせーとリンクするものだというのは言うまでもないし、〈マッハ20〉や〈死神〉といったワードも『暗殺教室』そのものに由来するもの。生徒と先生のやり取りから始まる序盤や、〈【問1】…〉〈【問2】…〉と質問を列挙していく中盤なども、学校を舞台とした作品の世界観に深く寄り添ったものだ。

 そして何より、サビの最後の締めのフレーズ〈一度限りの青春をさあ/塗り尽くせイエロー〉が象徴的。本楽曲において作り手の言いたいことが最もストレートに表現されているこのフレーズが、繰り返しなどを多用して畳み掛ける怒涛のサビのラストの締めに登場することで、聴き手にダメ押し的に突き刺さる。ポップミュージックは、いかに聴く者の耳や心に刺さるかの勝負だと考えれば、こうしたキラーフレーズがビシッと決まると理屈抜きにかっこいいと言わざるを得ない。タイアップ作品の世界観と自身の思いとをナチュラルにミックスし、パワーを保った状態で形にする。友成空のソングライティングの手腕には唸らされるばかりだ。

友成空(TOMONARI SORA) - "黄色信号"[Music Video](TVアニメ「暗殺教室」再放送 新オープニング・テーマ)

 友成空は、ここまで着実に広がりを見せてきた。2023年にメジャーデビューして以降、デジタルリリースのみながらも、楽曲の完成度の高さと個性の強さでじわじわとその知名度を上げてきた。なかでも、2024年1月にリリースされた「鬼ノ宴」はすでにストリーミング再生数が1億回を突破し、2024年の「日本のYouTube年間ランキング」、Billboard JAPAN「Heatseekers Songs」2024年年間チャートなどにランクイン。その類い稀な才能は、同世代のアーティストたちのなかでも頭ひとつ抜けていると言っていいだろう。

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