透色ドロップ 麻倉もな×有坂望由×卯野美琴 新メンバー初ソロインタビュー 三者三様の個性、思い描く理想のアイドル像

アイドルグループ 透色ドロップが、新体制お披露目公演『はじまりの鼓動が聞こえる』を4月29日に恵比寿 The Garden Hallで開催する。
2025年4月2日に新メンバーとして麻倉もな、有坂望由、卯野美琴の3名が加入。梅野心春、鎌房祐衣を含めて5人体制となり、4月23日に新曲2曲「未来は変えていけるから」「ハジマル!!」をリリースする。

リアルサウンドでは、新メンバー3名に初インタビュー。それぞれのパーソナルな一面やアイドルを志した背景に迫りながら、透色ドロップとして今後目指すアイドル像について聞いた。(編集部)
麻倉もな「初対面の人には“ふわふわしてるね”と言われます」

ーーまず、麻倉さんがアイドルに興味を持ったきっかけから教えてもらえますか?
麻倉もな(以下、麻倉):私は高校時代、少しつらい出来事があり、立ち止まってしまった時期がありました。そんなときに救ってくれたのが、アイドルの存在だったんです。嫌なことがあってもステージの上では笑顔で、前を向いて歌って踊る姿に、自分も頑張ろうって思わせてもらいました。
ーー立ち止まってしまった出来事というのを、差し支えない範囲で教えてもらえますか?
麻倉:学校で噂話が流れたりして、精神的に少しつらくなってしまったんです。そんなとき、特定の曲というより、「このままの自分でいいんだよ」と肯定してくれるような歌詞の曲に救われて。それまでは、あまりアイドルの楽曲は聴いたことがなかったんですけど、つらいときに聴いて自然と惹かれていきました。
ーーその当時聴いて、印象に残っているグループはありますか?
麻倉:透色ドロップさんはもちろん、HoneyWorksさんのmonaちゃんが歌っている「不屈のアイドル」とか、そういった曲をよく聴いていました。
ーーでは、少し話をさかのぼって聞かせてください。ご家族や周りから、どういう性格だと言われることが多いですか?
麻倉:初対面の人には「ふわふわしてるね」と言われます(笑)。でも、仲良くなると「意外と真面目だね」と言われることが多いです。
ーー確かに、今日も事前の質問案に対してメモをしっかり書いてきてくれていますもんね(笑)。宿題とかもすぐ終わらせるタイプですか?
麻倉:はい。ためるのが嫌なんです。精神的に落ち着かなくなっちゃって(笑)。
ーー小さい頃は、どんな習い事をしていたんでしょう?
麻倉:ピアノを10年くらい、あと体操と水泳、百人一首とかもやっていて。自分が「やりたい」と思ったことをやらせてもらっていました。
ーー習い事の中で、一番長く続けたのはピアノですか?


麻倉:はい。4歳くらいから始めたんですけど、最初はエレクトーンを8年くらいやって、そのあとピアノを2年ほどやっていました。今はもうあまり弾けなくなっちゃいましたけど、当時は結構弾けたと思います。
ーー体操や水泳は、どういうきっかけで始めたんですか?
麻倉:体操は、学校で空中逆上がりができなくて、それが悔しくて始めました。水泳は体操と同じ校舎で冬季講習があって、受けてみたら楽しくてそのまま通うようになりました。


ーー中でも、百人一首が一番意外ですよね(笑)。
麻倉:小学校の国語の授業でやったんですけど、リーグ戦みたいなのがあって、上位に行きたくて燃えて習いはじめたんです(笑)。
ーー負けず嫌いな部分もあるんですね。習い事や勉強、スポーツなど、さまざまなことに熱心に取り組んできた中で、音楽や映画といったエンタメで好きなものはありましたか?
麻倉:やっぱりアイドルの楽曲が好きで、自分を肯定してくれるような曲が特に好きかなと思います。漫画では『【推しの子】』が好きです。アイドルの表側だけでなく、裏側が描かれていて、葛藤や苦しみがリアルに伝わってくるのに、すごく引き込まれました。


ーー自分もアイドルになりたい、と思ったきっかけは?
麻倉:実際にそう思ったのは、TikTokを始めたときに私の笑顔で元気になったって言ってくださる方がいて。自分も誰かを励ませる存在になりたいと強く思うようになったんです。
ーーTikTokはどうして始めたんですか?
麻倉:特別な理由はなくて。なんとなく動画を撮って投稿してみたら、思いのほか反響があって。それがきっかけで続けるようになりました。
ーーどんな動画を投稿していたんですか?
麻倉:ダンス系の「踊ってみた」で。今でも一番古い動画が残っています。
ーー透色ドロップというグループに対しては、どんな印象を持っていましたか?
麻倉:“儚さ”と“芯の強さ”を兼ね備えたグループだと思っています。歌詞がとても素敵で、心に寄り添ってくれるような存在。気持ちがちゃんと伝わってくるグループだなって感じていました。


ーー特に好きな楽曲はありますか?
麻倉:「自分らしさの見つけ方」が特に好きです。タイトル通り、「自分はこのままでいいんだよ」と肯定してくれるような曲で、大好きです。
ーー実際にメンバーや運営の方と接してみて、印象は変わりましたか?
麻倉:いい意味で印象が変わりました。全員に透明感と儚さがあると思っていたけど、それ以上にしっかり自分の意志を持っていて、それぞれに強い個性がある素敵なグループだと実感しました。
ーー麻倉さんの中で、「アイドル」とはどんな存在でしょう?
麻倉:私は『【推しの子】』の星野アイが一番好きなアイドル像なんです。ステージの上では絶対的な笑顔でキラキラしていて、観ている人に夢や希望を与える存在。でも、その裏には葛藤や不安もあって……それでも笑顔を届けるのがアイドルだと思っています。

ーー今出たもの以外に大きく影響を受けた存在はありますか?
麻倉:母ですね。辛いことがあるとき、一番身近で支えてくれた存在。どんな時でも「味方だよ」と言ってくれたんです。
ーーそのお母さんに、アイドルになりたいと伝えたときの反応は?
麻倉:「大丈夫?」って感じでした(笑)。勉強優先の家庭だったので、精神的に大丈夫かって心配されましたね。
ーーそれでも「やりたい」と伝えたんですね。
麻倉:はい。自分の人生だから、自分の意思を貫きたいと思ったんです。
新体制の透色ドロップとして、その想いを背負って輝いていきたい


ーーオーディションに合格した時はどんな心境でしたか?
麻倉:とにかく嬉しかったです。最初は文面での連絡だったので実感がわかなくて。でもレッスンを重ねていく中で、だんだん「透色ドロップとしてデビューするんだ」って実感が湧いてきました。
ーーちなみに、これまでに歌の経験はあったんですか?
麻倉:まったくなかったんです。本当にゼロからのスタートで。最初は自分の歌声を聴くのも恥ずかしくて、「もう聴きたくない……」って思っていたんですけど、少しずつ慣れてきたかなとは思います。
ーー新体制の透色ドロップとして初めての楽曲が「ハジマル!!」と「未来は変えていけるから」になるんですよね。それぞれ、どんな楽曲になりましたか?
麻倉:「ハジマル!!」は春の恋模様を描いた楽曲で、舞台は駅や電車。明るくてキラキラしたメロディの中に、「好きすぎて胸が苦しくなる」という切なさもあって、青春の甘酸っぱさが詰まった恋愛ソングです。
ーー「未来は変えていけるから」はどんな曲でしょう?
麻倉:この曲は、新体制となった透色ドロップがこれから歩んでいく未来と重なる楽曲だと思っています。〈一歩を踏み出す〉〈未来を変える〉〈君を笑顔にする〉といった歌詞が、これから経験していくであろう不安や涙も受け止めてくれて、それでも前を向いて進んでいこうというメッセージが込められている気がします。
ーーご自身の気持ちともリンクしている?
麻倉:はい。今の自分たちの気持ちをそのまま表しているように感じています。

ーーレコーディングが終わって、完成音源を聴いたときの感想はどうでしたか?
麻倉:「本当にこれ、自分?」って思いました。たくさんの方が素敵な作品に仕上げてくださって、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ーーこの先、透色ドロップの中で、自分のどんなところを見てほしいですか?
麻倉:私はコンセプトに沿った世界観を作るのが得意だと思っているので、透色ドロップらしさである「儚さや透明感」を表現していけたらと思っています。パフォーマンスや楽曲を通して、ファンの方々を“透色の世界”に引き込めるような存在になりたいです。
ーー一緒に加入する2人のメンバーには、どんな印象を持っていますか?
麻倉:美琴ちゃんはとにかく明るい子です。太陽みたいな存在で、初めてメンバーの皆さんと会ったときも元気いっぱいで、すごくきゃぴきゃぴしていて(笑)。その明るさは本当に見習いたいなと思います。望由ちゃんは圧倒的な透明感の持ち主。性格的にも似ている部分があって、考えすぎちゃうところとか……。だからこそ、一緒に活動していく中でとても心強い存在です!


ーーいよいよお披露目1カ月を切りましたね。今の心境はどうですか?
麻倉:不安もすごく大きいです。振り入れは全部終わったんですけど、まだ配置が決まっていない曲もあって、覚えきれるかな……って。でも、ファンの皆さんに会える楽しみが大きすぎて、その気持ちで乗り越えられそうです。
ーーこれが初めての「生」でのパフォーマンスになるんですよね?
麻倉:はい。これまではTikTokやInstagramなどSNSでの発信だけだったので、ファンの方々と直接会えるのは初めてです。緊張もするんですけど、とても楽しみです。
ーー透色ドロップとして活動する中で、今後やってみたいこと、叶えたい夢があれば教えてください。
麻倉:夢は、個人的なものとグループとしてのものがあって。個人的には、私が過去にアイドルに救われたように、誰かに寄り添えるようなアイドルになりたい。私の笑顔で、誰かが笑顔になってくれるような存在になれたらと思っています。あと、かわいいものが大好きなので、ガーリー系ファッションのモデルさんもやってみたいなと思っています。
ーーガーリーな感じの世界観って、どんな感じのものなんでしょう?
麻倉:ふわふわで、リボンで、ピンクみたいな世界観が好きです。TikTokもそういうテイストで投稿してます。
ーー今回のインタビューで、事前にお伝えした質問以外に対しても真摯に語ってくださって、真面目ですけど、しっかり自分の言葉も持っている方なんだなと感心しました。
麻倉:ありがとうございます。実は、話してるときに「頭が真っ白になっちゃったらどうしよう」って心配になることも多くて。心配性なんです(笑)。

ーーちなみに、習い事の話で、美術も演劇もダンスも、何かを“表現する”ことに恥ずかしさや怖さはないですか?
麻倉:あります。自分が頑張ってきたことが、評価される瞬間ってすごく不安で。でも、自分が納得できるものになっていれば、それでいいって思うようにしています。
ーーこの先、SNSやTikTokなどで自分を発信する側面も多くなりますが、苦手な部分とか「これはちょっと許してほしいな」と思うところはありますか?
麻倉:最初のうちは、どれも初めてのことばかりで、きっとたくさん失敗してしまうと思うんですけど、ファンの方々には、そういう姿も含めて見守ってもらって、一緒に成長していけたら嬉しいです。私、すごく忘れっぽいんです(笑)。この前、YouTubeの「100の質問」に答える企画で、100個答えきれてなかったんですよ。自分でも「なんで忘れるの!?」って突っ込みたくなるくらい(笑)。
ーーあははは。人生で一番大きな“やらかし”って何かありますか?
麻倉:高校の定期テストのときに、当日まで違う教科の勉強をしていて、当日の朝に「え、これじゃないじゃん!?」って気づいたことがあって……。でも結果は80点くらい取れました(笑)。やっぱり真面目な部分は根底にあるのかもしれないですね。
ーー最後に、透色ドロップとしての夢を聞かせてください。
麻倉:先輩たちが築いてくれた道をしっかりと受け継いで、今まで透色ドロップが立ったステージより、もっともっと大きな舞台に立てるようになっていきたい。新体制の透色ドロップとして、その想いを背負って輝いていきたいです。