『虎に翼』もついに戦争の時代へ 女子/男子が平等のため共に“土下座”することの意味

『虎に翼』もついに戦争の時代へ

 その真偽はさておき、明律大学は1人も合格者が出せなかった女子部新入生募集の停止を決定する。寅子たちが肩を落とす中、「そんなことは絶対にさせない!」と立ち上がったのは香淑だ。香淑は鬼気迫る形相で学長(久保酎吉)に詰め寄り、必ず合格するから1年だけ待ってほしいと直談判。香淑に続き、女子部の生徒たちは床に手をついて頭を下げる。

 法改正がなされ、女性にも弁護士資格が与えられるようになってから、まだたったの2年。高等試験受験者の中でも女性は男性に比べて圧倒的に母数が少ないにもかかわらず、すぐさま新入生募集の停止に結びつくのはやはり女子部に対する世間の目が冷たいからなのだろう。それを阻止するために寅子たちが土下座までしなければならない状況に理不尽さを感じる。だがその姿を見て、花岡や轟(戸塚純貴)はもちろんのこと、日頃女子部をからかっている男子生徒たちまでもが一緒になって頭を下げる光景は希望だ。男女不平等な世の中に法学の世界から風穴を開けようとする寅子たちの姿は確実に多くの人の心を動かしている。穂高の説得もあり、学長は来年の試験で女子部の誰かが合格すれば、募集を再開すると約束してくれた。

 一方で、この年の7月に日中戦争が始まり、日本は一気に戦時色を帯びていく。中山(安藤輪子)の「夫に召集令状が来た」という台詞に胸がドキッとした。寅子の家族や優三、法学部の仲間も無関係ではない。出版社に勤める香淑の兄・潤哲(ユン・ソンモ)が警察と思わしき2人組に連行されていく場面もあり、不安が高まる。寅子たちは果たしてみんなで合格することができるのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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