『虎に翼』もついに戦争の時代へ 女子/男子が平等のため共に“土下座”することの意味

『虎に翼』もついに戦争の時代へ

 1年半に及ぶ裁判の結果、直言(岡部たかし)をはじめ共亜事件の被告人全員の無罪が確定。猪爪家にようやく平穏が戻った。

 その半年後、名律大学法学部の最終学年となった寅子(伊藤沙莉)は、ともに勉学に励んできたよね(土居志央梨)、涼子(桜井ユキ)、梅子(平岩紙)、香淑(ハ・ヨンス)とともに、司法試験の前身となる高等試験司法科試験に臨む。だが、結果はそろって不合格。『虎に翼』(NHK総合)第26話では、そんな寅子たちに厳しい現実が立ちはだかった。

 寅子の不合格が決まり、猪爪家ではさっそく家族会議が開かれる。高等試験は狭き門とはいえ、寅子は「必ず一発で合格してみせる」と豪語した手前、はる(石田ゆり子)に顔向けできない。その隣で同じようにうなだれて座っている優三(仲野太賀)。「お察しの通り」というもはやお馴染みとなったナレーションで、優三の不合格が伝えられた。

 だが、昼は銀行で働いている優三とは違い、寅子は大学を卒業したら無職となる。今年で24歳となるため、「地獄から引き出すなら今しかない」とはるから諦めるように言われる寅子。追い詰められた状況ですかさずアシストするのは、帝都銀行を退職し、発煙筒や信号弾を作る会社の社長となった直言だ。

 1年半もの間、寅子は穂高(小林薫)や仲間たちの力を借りながら直言を無罪にするために奔走した。それが少しも勉強に影響しなかったはずがないと、直言は寅子にもう一度チャンスを与えてもらえるよう、はるに頭を下げて頼み込む。女子部入学の件では「任せとけ」と言いながら、何もできなかった頼りない父の珍しく必死な姿は効果てきめん。寅子は働きながらという条件付きで卒業しても勉強を続けることを許された。

 寅子たちの学年で一次の筆記試験に合格したのは、花岡(岩田剛典)と稲垣(松川尚瑠輝)の2人。女子部で通過したのは、OGの久保田(小林涼子)のみだ。それでも全滅を免れたと安堵する一同だったが、次の口述試験で久保田だけが不合格となる。「申し訳ない! 私の力不足だった!」と寅子たちに頭を下げる久保田。だが、本当にただの実力不足なのだろうか。21世紀でさえ、入学試験で女性受験者の得点が減点される由々しき事態が起きているのだから、今よりも遥かに男女差別が激しかったこの時代なら、女性という理由だけで不合格にされたとしてもおかしくはない。寅子たちも優秀な久保田が不合格という事実に納得がいかなかった。

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