尾上松也×宮下兼史鷹がアメコミを語り合う “キャップ派”と“アイアンマン派”の違いも

尾上松也×宮下兼史鷹がアメコミを語り合う

 お笑いコンビ・宮下草薙のツッコミとして活躍する宮下兼史鷹。芸人としての顔以外にも、ラジオや舞台など多岐にわたる活躍をしている。おもちゃ収集が趣味、サブカルチャーに精通している無類の映画好きである彼の動画連載『宮下兼史鷹のムービーコマンダー』。連載1周年を記念して、宮下が公私ともに仲のいい歌舞伎俳優・尾上松也をゲストに招いた特別対談を実施。2人が仲良くなったきっかけ、互いの映画遍歴の詳細は動画にて。

尾上松也の映画遍歴を深掘り! 宮下兼史鷹と人生のベスト映画を語り尽くす

『ミュータント・タートルズ』と『スポーン』に魅了された幼少期

(左から)宮下兼史鷹、尾上松也

――尾上松也さんはマーベル好きと伺っていますが、アメコミを観始めたきっかけは?

尾上松也(以下、松也):おそらくきっかけは昔自分たちが子供の頃、テレビで『バットマン』や『スーパーマン』のテレビシリーズが放送されていたことだったと思います。「アメコミ」というのは、いわゆる日本のヒーローコミックとはまるっきり違うというか、どちらかというと世界観的には『仮面ライダー』に近いんですよね。それから「アニメーションなのにこんなに暗い話、子供は喜ぶのかな?」と、自分が日頃観ているヒーローものとの違和感を感じて興味を持ったのがきっかけですかね。そうしたら、そんな流れで『ミュータント・タートルズ』にハマり……。

宮下兼史鷹(以下、宮下)::お、じゃあ最新作『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』は観ましたか?

松也:まだ観られていないんですよ。

宮下:史上最高傑作でしたよ!

松也:これに関しては少し話が飛んでしまいますが、僕は1990年の実写版『ミュータント・タートルズ』が好きでして。当時の技術で、着ぐるみなのにあんなに豊かな表情が作れるんだっていう驚きと、ストーリーも面白いんです。3作くらい作られていて、だんだんストーリーはグダグダになっていくのですが、1作目が一番面白いんです。その後のCGアニメやマイケル・ベイの実写版ももちろん観ていますが、CGを使わずに人の手で動かしているもののほうが味があっていいですよね。1作目を超えるものを正直まだ観ていなくて、最新作にも懐疑的になっています。

『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』©2023 PARAMOUNT PICTURES.TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES IS A TRADEMARK OF VIACOM INTERNATIONAL INC.

宮下:うっすらとした記憶でしか覚えていませんが、それより面白いです!

松也:本当ぉ!?(笑) であれば観てみようかな。

宮下:子供の頃の思い出を加味して、ちょうどいい勝負になると思いますけどね。

松也:宮下くんが言うなら信じますが、まだ観ていないのでなんとも言えませんね。観たら感想を送ります。まあ、そういう『ミュータント・タートルズ』含めて、『バットマン』とかにハマってアメコミを知るようになりました。ですが、意外と最初に触れたのは『スポーン』なんですよ。最近、新しく映画が作られるっていう話も出てきていますが、1997年の『スポーン』ってめちゃくちゃ暗いんですよ。すごく暗い映画だけど、好きでした。フィギュアも買い集めましたが、とにかくグロテスクなんですよ。

宮下:子供に見せられないようなデザインのものが多いですよね。

松也:それでも、あのテイストが好きでした。

宮下:俺の親父が集めていましたよ、フィギュア。

松也:大人に人気がありましたよね! 懐かしいなぁ、大好きでした。今の時代でも絶対ウケると思う。

宮下:『ヴェノム』シリーズとかが今、ダークヒーローの立ち位置でやっていますけど、元祖は『スポーン』ですよね。

松也:そうそう、あとヴェノムは一応ヴィランだけど、スポーンはヒーロー側ですからね。確か主人公が殺されて地獄に落ちるときに、最愛の女性に会うために悪魔と契約をしちゃうんですよ。そして現世に戻って悪と戦うってストーリーだった気がします。ニコラス・ケイジの『ゴーストライダー』(2007年)とかも好きでしたね。言い出したらキリがないです。

宮下:まさか『スポーン』の話ができるとは思わなかったです。新しい映画が公開されたら、過去のフィギュアの価値も上がりそうですね。

松也:僕はフィギュアも好きだから、この間久しぶりに実写の『ミュータント・タートルズ』を観返したら、急に欲しくなっちゃって。実写版のフィギュアがないか探して、メインキャスト全員分購入しちゃいました。(笑)。たぶん実写版は需要がないから、意外とそんなに高くなかったんですよ。今話していて『スポーン』も欲しくなっちゃったな。

宮下:松也さんは、すぐ買っちゃいますからね。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』キャプテン・アメリカを振り返る

――マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では誰が好きですか?

松也:僕はキャプテン・アメリカ派ですね。アベンジャーズであれだけのヒーローたちがいる中、強化されてはいるし身体能力は強いけどほぼ人間なんです。

宮下:ほとんど生身ですよね。

松也:そう。だから僕が一番好きだったのが、『アベンジャーズ』(2012年)で宇宙人がニューヨークを飛び回っていたときにブラック・ウィドウとキャップが一緒にいて「上に敵がいるぞ」となって、ジャンプして上に行くのかなと思ったら、キャップがウィドウをドーンって飛ばすだけだったシーン。「そっちが行くんかーい!」みたいな(笑)。能力としてはそんなに長けているわけではないのに、全員を引き立てられるリーダーシップ。それが僕はとても好きですね。一方で、『キャプテン・アメリカ』シリーズになったときのキャップって、すごく強く描写されているんですよ。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に関しては、目の前に来た飛行船を盾とジャンプだけで破壊するという……あの感じにもう、震えましたね。「カッコよ!」って。

宮下:『アベンジャーズ』や『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』から好きなシーンを出してくるあたり、“キャップガチ勢”だなって思いました。やっぱりどうしても『アベンジャーズ/エンドゲーム』のハンマーを使うシーンとか、あのへんが話に出てくることは多いですけど、本当に好きなんですね。

松也:宮下くんは?

宮下:僕は、キャップは精神面がヒーローすぎて逆に合わないんですよ。僕はやっぱりヒーローになろうとしている人間が好きで、だからアイアンマン派です。あいつはめちゃくちゃクズなんですよ。女性をはべらせて好き勝手やっていたけど、自分の技術がヒーロー活動に役立つことに気づいて、そこからどんどんヒーローになろうともがく。でも、結局ヒーローになれるような人間じゃないからそこでキャップと激突するわけですよ。そこが僕は好きです。

松也:お互いに完璧なヒーロー同士だったらあの関係性は築けなくて、お互いがないものを持っていてそこに憧れているからこそ、ぶつかるしイライラしているんですよね。でも離れない。そこに感動します。

映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』予告編

宮下:『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』なんて最高ですよね。

松也:大好きな作品です。でも、さっき名前が出た『アベンジャーズ/エンドゲーム』のキャップももちろん最高でしたよ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で、キャップのときにだけハンマーが動いた前振りがあって、マーベル好きの人は「いずれ彼が扱える」とわかっている状態でしたからね。キャップファンのみならず、全世界が震えた瞬間ですよ。そしてみんなが揃ったときの、「アッセンブル!」は何度観てもカッコよすぎて、「きゃーっ!」って女の子になっちゃいます(笑)。

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