『クジャクのダンス』原作と異なる展開を総括 ドラマオリジナル最終回はどうなる?

3月28日にいよいよ最終回を迎える、広瀬すず主演の金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)。本作は浅見理都による同名の人気漫画を原作とした作品で、連載中に放送が開始され、放送途中に原作の結末を迎えたことで、原作と照らし合わせて楽しんでいる視聴者が多い。
これまでは大方原作通りに進んできたが、最終回目前の第9話で原作とは異なり、鳴川弁護士(間宮啓行)の自首や赤沢正(藤本隆宏)が林川邸で妻・京子(西田尚美)に刺された(?)展開となったことで、新たな結末への期待が膨らんでいる。そこで、本作のドラマ版と原作の大きな相違点についてまとめつつ、最終回の結末を予想してみたい。
最終回を前に原作と大きく変えてきたのが、鳴川の自首。原作では鳴川が東賀山事件に関わっていたことは直接的には最終話まで明かされず、京子が赤沢を自宅マンションから突き落とし、現場にいた鳴川が共謀していたことが発覚し連行される。また、阿南検事(瀧内公美)の父であることも明確には明かしていない。原作では冤罪を理由に京子に脅され事件の隠蔽に手を貸してきた。理屈はわかっても何人も殺めてまで京子の命令に従うのかが腑に落ちなかったが、ドラマでは鳴川を詳しく描くことで補足されることになった。

まず原作では鳴川が連行される際に阿南が「お父さん」と呼びかけるも、「誰のこと言うてるんや、ワシに娘はおらん」と最後まで関係を隠し通したことで犯罪者の娘にはしたくない親心を表現していた。ただドラマではハッキリと親子だということを強調。それにより鳴川の動機は、冤罪を犯したことで阿南検事のキャリアにキズをつけたくなかったという娘への想いを明確にし(とはいえ保身もあるだろうが)、「お前に父親らしい背中を見せたかっただけなんだ」と独白し、阿南の言葉を聞いて自省するという人間らしさを垣間見せ、選択を間違えた人として描いた。
また、原作では“単に怪しい男”としてしか描かれなかった人物がドラマでは“カラビナ男”となったことで、ドラマオリジナル展開やシークレットキャストへの期待を煽った。とはいえ、あそこまでカラビナをアピールしたら何か意味があってほしいところ。

次に大きく違う点は、久世(篠井英介)がドラマでは赤沢の先輩だが原作では後輩という真逆の関係。おそらく松山ケンイチの父親役として、年齢的に赤沢役の藤本隆宏や西田尚美よりも若いキャスティングは違和感が出てくるからだと考える。ただ先輩後輩が逆転したことで久世にとって赤沢の印象が上司として圧力の強い人物から、血気盛んな後輩へと変わり、久世が上司だからこそ「俺は見てるぞ」というあの目がトラウマになったと思う。こうした部分でも赤沢への印象が変わり、最終回で明かされる京子の真相の違いにも繋がりそうだ。
京子について。原作で誰もが疑問に思ったのが、京子が歌の母親だった場合出産はいつだったのかということ。また、赤沢はさすがに妊娠には気づくはずだがそれをスルーしていたこと。しかしドラマでは春生(リリー・フランキー)が久世を訪れた際に2人が別居していたことが明るみとなり疑問がとりあえず解消。また、このシーンがあったことで春生が真犯人の核心に迫っていたことも伺える。

そして問題の第9話のラストで、林川邸で京子が赤沢を刺したところを心麦たちに発見された。原作ではマンションの部屋から突き落とし、しかも赤沢の遺書まで用意して自殺に見せかけようとする計画的なものだった。ドラマでは赤沢が駆けつける前に京子が林川邸で心麦のビデオを見ていたときに既に刃物が用意されていた。おそらく心麦や松風たちが真相に迫ったことで自殺をする覚悟だったと考えられ、原作との京子の印象が変わる。そうなると、赤沢は京子の自殺を止めたときに刺された可能性が高い。
事件当日に遠藤力郎(酒向芳)が見た、赤子を抱えながら林川安成(野間口徹)と一緒に帰宅した女性は京子の可能性が高い。また京子が見ていた歌のビデオには、「この子は幸せな子になるのね。歌ちゃん一緒にいろんなところ行こうね」という京子の声と、「そうだよ」「歌」「おっ笑ったよ」など林川安成の声が入っていたことから2人が親密な関係だったと思わせている。

とはいえ、林川家の写真には歌を加えた家族写真があり、不倫の子を安成の妻・里子(安藤輪子)が受け入れたというのは何なのか。心麦たちが三木田(石丸謙二郎)から林川家について話を聞いたときに、林川家の長男・奏太の発達が遅れていることに悩む里子がメンタルクリニックに通院していたこと、また資料には林川家の資産管理をしていた安成の母・乃梨子から里子はプレッシャーをかけられていたことが明かされていたが、そこに現れたのが京子。子供欲しさに乃梨子公認で安成の不倫を認めたと推測。家族写真では乃梨子が歌を抱いている。