『舞いあがれ!』『半分、青い。』『とと姉ちゃん』ユニークな職歴を持つ朝ドラヒロイン
連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)のヒロイン・舞(福原遥)は、ハカタエアラインの内定を辞退し、母・めぐみ(永作博美)と一緒に、父・浩太(高橋克典)の思いを引き継ぎ、IWAKURAを守ることを決意する。ヒロインがパイロットになる物語だと思っていたので、この展開には正直なところ驚いたけれど、舞が心からIWAKURAを立て直して守りたいと願うなら、応援していきたいと思う。
これまでの朝ドラには、舞のように、最初に目指したり、やむを得ず就いたりした職業から一転、違う仕事をするようになったヒロインたちがいる。近年の朝ドラヒロインの職業の移り変わりを振り返ってみよう。
『あまちゃん』のアキ(能年玲奈/現・のん)は、東京から北三陸に引っ越し、祖母・夏(宮本信子)のように海女になることを決意する。海女姿が注目されたことをきっかけに町おこしに協力し、親友のユイ(橋本愛)と共にユニット活動をすることに。そして、ユイの夢であるアイドルを一緒に目指すことにするが、ユイが家族の事情で上京できない間に、アキはアイドルとしてデビュー。並行して、俳優業の勉強のために大女優・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人としても働き、演技の仕事もするようになる。子ども番組への出演で人気を博し、一時期は売れっ子に。東日本大震災が発生すると、被災した北三陸のみんなを想って戻ることにしたアキは、海女であり北三陸のアイドルとして活動。最初は海女になるために高校の潜水土木科で学ぶも、芸能人への道に進むという、異色の職業変更だった。
『とと姉ちゃん』の常子(高畑充希)は、早世した父・竹蔵(西島秀俊)の遺言で父親代わりとなり、「家族を守る」「妹たちを嫁に出す」「家を建てる」という目標を立てて奮闘。高等女学校時代は実業家を目指し、練り歯磨きの製造販売を試みるも、卒業後には和文タイピストとして商社に就職する。ビアホールで酔っぱらいに絡まれて警察沙汰になってしまった常子は、商社をクビになってしまい、出版社の事務員として再就職。その後、自ら女性のための雑誌を作る決意をし、退職して出版社を起業する。生活情報誌『あなたの暮し』(『暮しの手帖』がモデル)を創刊したことを機に、社名を「あなたの暮し出版」と命名したのだった。常子は実業家、タイピスト、事務員、出版社起業と仕事が移り変わりながら、最初に目指した職業に就いたヒロインだ。
『ひよっこ』のみね子(有村架純)は、高校卒業後は家業の農作業に専念するつもりだったが、父・実(沢村一樹)が失踪したため、困窮する家計を支えつつ父を捜そうと、上京してトランジスタラジオの製造工場に就職する。ところが、その会社が倒産し、石鹸工場の内定をもらうが、採用人数削減を受け入れて辞退し、洋食屋のホール係として働くことに。そこの見習いコック・秀俊(磯村勇斗)と結婚したみね子は、夫婦で店を持つことを目指す。農業をやりたかったみね子は、工場勤務、ウエイトレスと状況に応じて仕事を変え、愛する夫と店を持つのが目標となった。