『舞いあがれ!』福原遥と目黒蓮の恋路の終止符 朝ドラのほろ苦い初恋の試練を振り返る

『舞いあがれ!』福原遥と目黒蓮が歩んだ恋路

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第15週となる「決断の時」が放送された。とうとう舞(福原遥)と柏木(目黒蓮)に別れが訪れてしまった。お互いに忙しい日々を過ごすうちに心の距離は離れ、柏木から舞に別れ話を切り出したのだった。柏木は、内定を辞退し新たな目標に向かう舞に対して、「短い間でも一緒に空を目指せて幸せだった」と告げて去っていく。舞にとっては、ほろ苦い初恋となってしまった。

 浩太(高橋克典)の死により岩倉家最大の苦難が訪れる中で、舞と柏木は「目指すもの」が違うと別れることになる。しかし、「目指すもの」以上に違ったのは、舞と柏木のそもそもの性格のようにも思える。

 柏木はどちらかといえば合理的なタイプの人だ。それは「パイロットになって親孝行すればいい」と舞にかけた言葉からも見えてくる。確かに金銭面での解決ということで言えば、柏木の言うことは理にかなっているし、これに関しては兄の悠人(横山裕)も同じようなことを指摘していた。感情の問題を抜きにすれば、舞がパイロットとして独り立ちをして岩倉家の家計を助けるのが、航空学校の学費も無駄にならず一番の解決策になるだろう。だが思い返せば柏木は、賢くて最良の判断ができる反面、人と寄り添うのが苦手なところもあった。

 一方、舞は人の心に寄り添い、誰かのために何かをしてあげたいという性格。相手の問題を自分の出来事のように心配して手を出さずにはいられない。大学時代には怪我をした由良(吉谷彩子)の代わりに、なにわバードマンの思いを背負いパイロットに立候補したこともあった。現在は亡くなった父の代わりに大切なIWAKURAと大好きな母親を守ろうと必死なのである。舞がこのような状況である以上、柏木と舞がお互いの考えに共感し合うこと自体が難しかったのかもしれない。

 実は近年の朝ドラでも、付き合った恋人同士が別れるという悲しい展開が度々あった。第86作目の『梅ちゃん先生』(NHK総合)では、恋人の松岡(高橋光臣)のアメリカ留学とともに梅子(堀北真希)の恋が終わる。また第96作目の朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)では、ヒロインのみね子(有村架純)が同じアパートの住民である島谷純一郎(竹内涼真)と恋人同士になるも、その後、島谷に政略結婚の話が持ちあがり、気を使ったみね子のほうから関係を終らせることに。第105作目の『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)のヒロインの1人、ひなた(川栄李奈)は大部屋俳優の五十嵐(本郷奏多)と7年以上も付き合った末、仕事を失い思い悩んだ五十嵐に一方的に振られてしまった。

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