永野芽郁×西島秀俊の“大人の青春”が眩しい 『ユニコーンに乗って』小鳥と功の関係も変化

『ユニコーンに乗って』ロマンと財政の板挟み

 小鳥(西島秀俊)のアイデアやアドバイスが佐奈(永野芽郁)と功(杉野遥亮)、そして「ドリームポニー」がぶち当たる壁を乗り越える突破口になった『ユニコーンに乗って』(TBS系)第4話。

 投資家の高山(飯田基祐)からの1億円の出資話は、彼の下心を見抜いた小鳥によって立ち消え、佐奈は事なきを得るも、このままではあと10カ月すれば会社の資金はショートしてしまうという窮地は変わらない。

 そこで、海斗(坂東龍汰)から課金制導入の提案があり、それに賛成する周囲の様子に佐奈はショックを受ける。佐奈にとって創業以来ずっとこだわってきたポリシーが“無料”でのサービス提供であり、課金制を導入することは“ITの力で全ての人が平等に学べる場所を作りたい”という「ドリームポニー」の理念に反する。課金制を導入することで生まれる“格差”について、小鳥だけがその裏で「嫌な思いや悔しい思いをする人たち」の存在について代弁するも「理想だけじゃなく現実も見ないと」とする功の言葉に、佐奈は思わず「功にはわからないと思う。わかるはずないよ」と吐き捨てるように言ってしまう。

 何より佐奈は、自分が最も大切にしていたポリシーについて当然のごとく他の仲間からも共感を得られているものだと思っていた前提が覆されたことに衝撃を受け、それに気づかず自分だけが無料サービスにこだわり続け周囲に気を使わせていたのではないかと一気に自信を喪失してしまう。「私の言ってることはそんなにお花畑なんですかね?」と思わずこぼす佐奈に、小鳥はこれまでの歩みを思い起こさせる。これまでも「ドリームポニー」は無理だと思うことをアイデアで乗り越えてきたことを。そして、「会社を一番に守りたい」功たちと「会社と理念の両方を守りたい」佐奈のほんの少しのズレについて、どちらのことも悪者にはせず双方に想いを馳せる。いつだって中立でフラットな小鳥のような存在は本当に貴重だろう。そりゃあシングルマザーの女性起業家・羽田(広末涼子)だって、自身の創業したての頃の女性ゆえの苦労話を思わず打ち明けてしまいたくなるのも頷ける。

 大人になってから図書館で肩を並べ自分たちの理想を叶えるヒントがどこかに転がっていないかと、一緒にああでもないこうでもないと言いながら書物のページをめくる。そんな佐奈と小鳥の関係性がちょっと羨ましく、まさに“大人の青春”のど真ん中を疾走している彼らが眩しい。さらにここで見つけたアイデアの欠片こそが「ドリームポニー」の理念やロマンと、財政というソロバンの両立を見事に叶える鮮やかで新たな施策に繋がるのだ。

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