『カッコウの許嫁』が継ぐ王道ラブコメディの系譜 『ママレード・ボーイ』との共通点も

 もしも自分が生まれた時に病院で取り違えられた子どもだったら。そして、のちに自分と取り違えられた相手と出会ったら――。そんな現実ではありえない展開に巻き込まれていく男女を描いたアニメ『カッコウの許嫁』の第3話が、5月7日深夜1時30分からテレビ朝日系にて放送される。

 本作は、『ヤンキー君とメガネちゃん』や『山田くんと7人の魔女』で知られる吉河美希の同名漫画を原作とした、“赤ちゃんの取り違え”から始まるラブコメディ。原作は『週刊少年マガジン』で連載当初から読者の反響を呼び、2020年5月に1巻が発売されるや否や全国の書店で売り切れが続出。講談社としては21世紀初となる4週連続での重版を記録した超人気作だ。

 赤ちゃんの時に取り違えられ、本当の両親と面会することになった高校生の海野凪。その当日、超お嬢様女子高生・天野エリカと偶然出会った凪は、許嫁との結婚を阻止したい彼女の頼みで半ば強引に恋人役を演じることになってしまう。しかし、この2人こそが取り違えられた子どもであり、許嫁だった。

 そして血の繋がった子どもも、16年間共に過ごした子どもも愛しい両親たちの提案で両家公認の許嫁関係となった2人。さらには同居生活を送ることになるが、クラスメートの瀬川ひろに想いを寄せる凪と、父親に反発するエリカは「お互い一切関与しないこと」を決める。

 2013年に公開された福山雅治主演の映画『そして父になる』をはじめ、これまで「新生児取り違え」を題材した作品は数多く製作されてきた。そのほとんどが過去に日本でも頻発していた取り違え事件を元に2組の家族の葛藤を描いたものだった。そんなシリアスになり得る世界を完全なるフィクションとしてコミカルに描いている点や、突拍子もない自由奔放な“両親ズ”に子どもたちが巻き込まれていく展開に既視感を覚えた人も多いはず。そう、1990年代の少女漫画ブームを代表する吉住渉の『ママレード・ボーイ』だ。

 アニメ化、2018年には桜井日奈子と吉沢亮で実写映画化もされた同作は、両親がパートナーを交換して再婚し、突然ひとつ屋根の下で暮らすことになった高校生男女を描いている。最悪の出会い、そして周りの人を巻き込んださまざまな出来事を経て、反発しあっていた2人が惹かれあっていくストーリーに誰もが憧れた。

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