『ゆるキャン△』は何度観ても楽しめる 映画に向けてTVシリーズの魅力をおさらい

 昨今のキャンプブームの火付け役のひとつでもあるアニメ『ゆるキャン△』は、あfろの原作で2015年から『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)で連載がスタート。コミックスは13巻まで発刊され、累計1500万部を突破している。番外編の『へやキャン△』をはじめ、公式ガイドブックや作中に登場した名所を巡る『ゆるキャン△ 聖地巡礼ドライブ&ツーリングガイド』など、関連書籍も多数発売。作中でキャラクターたちが訪れる各地の自治体や、キャンプ&アウトドア製品を扱う企業とのコラボも行われ、作中に「カレー麺」が登場することから現在は「日清カレーメシ」とのコラボが展開。7月の映画公開を前に、さらに大きな広がりを見せている。

ゆるキャン△

 静岡県浜松市から山梨県に引っ越して来た各務原なでしこが、ソロキャンプが趣味の志摩リンや同じ高校の「野クル(野外活動サークル)」のメンバーらと出会い、自然豊かな富士山麓で、キャンプやアウトドアを楽しむ様子が描かれていく。最初はろくにテントも張れなかったなでしこだったが、シーズン2ではソロキャンプをするまでに成長。作中では火のおこし方などキャンプにまつわるHOW TOはもちろん、美味しいキャンプ飯の作り方なども紹介され、時には失敗を経験しながらキャンプを楽しむ彼女たちと共に、キャンプやアウトドアのイロハを学ぶことができる。また、山梨、長野、静岡などに実在するキャンプ場や周辺名所が多数紹介され、「しっぺい太郎」などその土地に伝わる逸話も描かれるなど、作品を通してその土地の魅力を発見することもできる。

 アニメ版『ゆるキャン△』は2018年1月に放送がスタート、昨年は『ゆるキャン△ SEASON2』が放送され、現在再放送が行われている。『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』や『かげきしょうじょ!!』などに出演する花守ゆみり(各務原なでしこ役)、『きんいろモザイク』や『マクロスΔ』のワルキューレのメンバーとしても活動する東山奈央(志摩リン役)を中心に、原紗友里、豊崎愛生、高橋李依といった人気声優が出演。豊崎が演じる犬山あおいの妹のあかりや鳥羽先生、高橋が演じる斉藤恵那の愛犬ちくわなど、回を重ねるごとに登場キャラクターも増えて賑やかに。彼女たちによって命が吹き込まれた個性豊かなキャラクターたちが、実に生き生きと画面を走り回る。

 本作の魅力は、キャンプのHOW TOやキャラクターのかわいらしさ、声優陣の豪華さといったものだけではない。精細に描かれた風景描写、作中に流れるまったりとした雰囲気、そしてひんやりとした冬の朝の冷たさや広大なキャンプ場に広がる澄み切った空気といった、気温や空気が画面を通して感じられることも魅力。キャンプは外でするものであり、気温は重要。大垣千明(原紗友里)、犬山、斉藤恵那(高橋李依)が3人でキャンプを行った際に、夜の気温を見誤って近くのキャンパーに助けられるというエピソードも放送された。ただ楽しいだけではなく、冬キャンの天敵である寒さや冷たさといった過酷さをリアルに描くことで、たき火の温かさやキャンプ飯の美味しそうな雰囲気がより伝わり、視聴者を惹きつけるのかもしれない。

【ゆるキャン△】「花守ゆみり はじめてのキャンプ入門」 #1

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