パブリックイメージも大きな要因に? 花江夏樹がアニメや映画などに起用され続ける理由
声優・花江夏樹の勢いが止まらない。アニメ『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎役を演じたことで一気に国民的認知度が高まった彼だが、その後のメディア露出量を考えるだけで今最も忙しい、売れっ子俳優の一人であることは自明である。
劇場公開中の『グッバイ、ドン・グリーズ!』でも主人公ロウマ(鴨川朗真)役を演じている花江。テレビアニメに限らず、オリジナルアニメーション映画でも今引っ張りだこな彼がなぜ、ここまで高い人気度をキープしているのか。間違いなく声優としての実力の高さが理由ではあるが、それに伴った本人のパブリックイメージの良さも大きな要因のように考えられる。
もともと花江は2009年に憧れの声優・山寺宏一が所属する事務所アクロス エンタテインメントにオーディションを経て所属してから、下積みを重ねて2011年に正式デビューを果たした。特筆すべきは、デビューして間もない2013年のオリジナルTVアニメーション『凪のあすから』から主役の座を射止めていたこと。そして2014年にTVアニメ『東京喰種トーキョーグール』の金木研役やTVアニメ『四月は君の嘘』の有馬公生役といったヒット作の人気キャラを演じたことで一気に注目を浴び、同年には声優アワードの新人男優賞をも受賞している。
花江はキャリアの初期から、こういったように主人公級の役を演じることが多かったのだ。だからこそ、その後のアニメ、ゲーム、あらゆる人気タイトルにはほぼ必ず彼の名前が出演に連なっているかのように、存在感をどんどん増してきた。そう、『鬼滅の刃』以前から、彼はかなりの“売れっ子”だったのである。ただ忘れてはいけないのは、デビュー当初から現在にかけてのアニメ、ゲーム、ドラマCDなどの出演作の量はかなり膨大であり、彼がたくさんの努力と誠意のある仕事を通して人気を築いてきたことだ。
さて、この“売れっ子”というものを声優で考えるとき、もちろんどれほどの数のアニメやゲームに出演しているかも一つの指標にもなるだろう。しかし、「声の仕事」として考えた時、テレビCMや吹き替えなど幅広い分野で起用され、活躍しているかということも大きな指標になるはずだ。特に企業CMはパブリックイメージが重視されることもあるため、起用数が多いこと自体、やはりわかりやすく人気度を表している。今や花江の声を聞く機会はアニメ作品にとどまらず、映画館で事前に流れているCMから、YouTubeにも流れている大東建託「いい部屋ネット」のCMと多岐に渡っている。しかし重要なのは、竈門炭治郎役での大ブレイク以降、より花江の活躍が目立つようにはなったのは事実であるものの、彼が企業案件に起用されはじめたのはそれよりも前であることだ。
2016年には東洋水産で「マルちゃん生ラーメン ボイスレシピ」に、2017年にはSANYO、2019年には三井ショッピングパークららぽーとのTVCMナレーションと数多くの大企業と仕事をしている。吹き替えは2021年以降の活躍が目覚ましく、映画『クルエラ』や3月11日よりディズニープラスで配信された『私ときどきレッサーパンダ』への出演と、本国審査もかなり厳しいディズニー作品に連続して出演している。また、Netflixで配信されている人気ゲームのアニメ化作品『ザ・カップヘッド・ショウ!』では主人公のカップヘッド役を演じている。