Snow Man 目黒蓮、映像業界で欠かせない存在に 『トリリオンゲーム』で際立つ“目の力”

“ハル”目黒蓮の瞳に心を奪われる理由

 無邪気さがにじみつつも、真意が読めない瞳。スクリーンに映る目黒蓮が演じる天王寺陽を見た瞬間、改めてその瞳に心を奪われるのを実感した。

 2023年にドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)を観た時、目黒の瞳の力は、青年漫画らしい型破りな役柄をも物にするのかと、驚かされたのを今でも覚えている。『トリリオンゲーム』は、ビッグコミックスペリオールで連載中の同名漫画が原作の作品。目黒演じる天王寺陽(ハル)と佐野勇人演じる平学(ガク)が、1兆ドルを稼ぐことを目指し、嘘やハッタリ、コミュニケーション力を武器にビジネスの世界を駆け上がる物語だ。

 ドラマでは、AIオンラインショップやソーシャルゲーム、芸能事務所、アニメ制作会社、TV局といったメディア事業など、原作と同じ流れで、時に裏切られ、敵を出し抜き、仲間を増やし、大金を稼いできた。劇場版で描かれるカジノ編は、原案を担当する稲垣理一郎監修の元制作された、原作にはない完全オリジナルストーリーだ。日本初のカジノを建設するべく、ハルとガクが奔走する。

 特筆したいのは、やはりハルを演じる目黒が持つ目の力だ。ハルは持ち前のコミュニケーション力で、カジノ建設予定地の住民たちと仲を深めていくのだが、住人たちの前で心底楽しそうな笑顔を見せていても、真意が読み取れない。しかし、自分のワガママを通して、自分だけが得をしようとするエゴがチラつくわけでもない。お金のためだとしても、この人を信じたら、明るい未来があるのかもしれないと思わせる力がある。

 ハルは設定上は分かりやすいが、演じるのは極めて難しいキャラクターだ。笑顔で人を懐柔しつつも、その心の内は読ませない。でもどこか魅力的。そして、ハルのハッタリ力や人を惹きつける存在感にも説得力を出さなければならない。目黒本人が持つ凛々しい顔つきと、人懐っこいタレ目が際立つ笑顔のギャップ、普段よりも抑揚や響きを付けた中低音ボイスがあるからこそ、ハルという非現実なキャラクターをリアルに落とし込めている。ハルを存在させるために、使えるものは全て使って表現するという意気込みが感じられる。特に、劇場版ではドラマ版以上にアクションシーンが多く、見どころの一つ。ハルの大胆さやスマートさが際立つ身体表現にも注目だ。

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