奥野瑛太の涙は『日本一の最低男』一番のハイライト “愛情”が詰まった完璧な家族ドラマに

『日本一の最低男』“完璧”な家族ドラマに

 一平(香取慎吾)が選挙に出ようとしていることを知り、そのために子どもたちや同居生活を“利用”しているのかと詰め寄る正助(志尊淳)。それに対して一平は、素直に利用したと認めるのだが、シングルファザーとしての暮らしに限界を感じていた正助もまた一平のことを利用しているのではないかと指摘し返す。

 2月13日に放送された『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)第6話。「利用すること」と「愛情」とを天秤にかけた上で語られていく今回のエピソードは、家族を描く物語としてこの上なく実直だ。利用し、利用され、その相互関係によって信頼や愛情というものが構築されていく。社会がそうであるように、最小単位の社会である家族にも自ずとそれは通じるものであろう。

 一平になるべく早く出ていくと宣言しつつも、週末に控えたひまり(増田梨沙)の誕生日までは“家族のふり”を続けてほしいと頼む正助。正助たちに出て行かれた選挙に影響すると焦った一平は、家事をこれまで以上にがんばりながら、子どもたちを味方につけようと奔走する。そんな折、一平が企画したこども食堂の特集がテレビで放送される。そのなかでアシスタントとして映ったひまりは、陽菜(向里祐香)の遺したレシピノートで料理することについて「お母さんのご飯を、またお父さんに食べてもらいたい」と語る。感極まる正助だったが、その“お父さん”が自分のことではないと気付くのである。

 陽菜と前の夫との間に生まれたひまり。血のつながった父親――康太(奥野瑛太)はひまりが3歳の時に突然出て行ってしまい、どこへ行ってしまったのかわからない。正助から相談された一平は、当時陽菜が康太と結婚したいと言いだした時に猛反対したことを振り返るのだが、無職で無収入で家族に反対されても結婚したいと思うほどの相手だったのかとポジティブに変換する正助は、かえって悩みこんでしまう。

 この康太の登場と、“再会”が描かれる終盤の展開は、現時点における本作最大のハイライトといってもいいのではないだろうか。テレビをきっかけにひまりの居場所を知った康太は、こっそり都(冨永愛)の店の前にこども食堂の食券用の金銭が入った封筒を置く。一平はそこに書かれた特徴的な“右はらい”で康太であると察知し、正助を連れて3人で会話の機会を設ける。康太の口から語られる、陽菜とひまりを置いて出て行った理由。ここでも正助は、彼を責めることなく「あなたが逃げたから、逃げてくれたから陽菜さんと結婚できて、ひまりのお父さんになれて、息子も生まれた」と語る。なんと優しい世界であろう。

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