伊藤沙莉のヒロイン無双はもう始まっている 『ボクたちは~』で主人公の恋人役を好演

伊藤沙莉の 『ボクたちは~』での好演

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、毎年この時期にオザケン映画(参考:現代に形を変えて蘇る岡崎京子作品 『ジオラマボーイ・パノラマガール』)をお勧めしている編集部の大和田が『ボクたちはみんな大人になれなかった』をプッシュします。

『ボクたちはみんな大人になれなかった』

 燃え殻さんによる同名タイトルのデビュー作を映画化した本作は、ある朝の満員電車の中で、昔フラれた大好きだった彼女に間違えてFacebookの友達申請を送ってしまった主人公・ボクの混沌とした1日から始まる物語。森義仁監督にとって、本作は映画監督デビュー作でもあります。

 46歳の主人公のボクこと佐藤(森山未來)が遡っていく半生の中で、3人の女性が登場します。2010年代に同棲していた恋人の恵(大島優子)、2000年代に失恋したばかりの佐藤の前に現れたバーテンダーのスー(SUMIRE)、そして1995年に出会った一番好きだった人、かおり(伊藤沙莉)。彼女たちと過ごす時の佐藤の人柄は、年代ごとにちょっと違いました。結婚の話を進めようとする恵には、「それって(震災の後に結婚する人が増えていることと同じことをすることに)フツーじゃない?」と言い、同棲しようという自身の提案には、かおりから「普通だなーと思って」と言われたり。鮮明に残る女性たちの記憶を振り返りつつ、彼は自分の変化と今、そしてずっと離れずに自分にくっついている「普通」とは何かを考えていきます。

 およそ10年前、『モテキ』でも散々女性に翻弄される役を演じ、劇中を彩る音楽にもまれていた森山未來さん。本作でも佐藤とかおりが出会うきっかけとなった小沢健二をはじめ、音楽やファッション、アートなどの数々のカルチャーが時代の変化を彩ります。そして当時、実際に日本で起きた事件や世相を背景に進行していくストーリーは、誰かの実話なのでは? と思ってしまうほどリアルに感じられました。

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