『おかえりモネ』における”語り”の役割とは 竹下景子が生み出す適度な距離感

『おかえりモネ』における”語り”の役割とは 竹下景子が生み出す適度な距離感

 「朝ドラ」の注目ポイントの1つに“語り”がある。“誰が”、“どんな視点”で語りかけるのかが毎作の楽しみだったりもする。連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)では、この“語り”を担うのがヒロイン・永浦百音(清原果耶)の亡き祖母の雅代(竹下景子)で、そこからさらに一歩踏み込んだ設定が話題を呼んでいる。雅代は生前、夫の龍己(藤竜也)の牡蠣養殖を手伝いながら、民宿も営んでいた愛情深く包容力のある人で、百音の同級生たちから今でも慕われているような存在だ。

 初回放送時に冒頭の回想シーンに登場した後、舞台を2014年に移すと“語り”として町の様子などを紹介した。そこから物語の後半、遺影となった自分を「病気でちょっと前に死にました。でも実は牡蠣に生まれ変わっております」と説明するナレーションが入り、まさかの “転生”ぶりを明かした。

 ヒロインの祖母がナレーションを務めるケースは多く、直近では『半分、青い。』での祖母役の風吹ジュンが記憶に新しい。“天からヒロインを見守る存在”として登場人物らの言動をフォローしたり、ツッコミを入れてみるなど主人公たちのセリフに対するアンサーのような役割を果たしていたのが印象的だった。

 本作でも竹下扮する雅代の百音への優しく孫を想う心からのエールや、悩める百音にハラハラしながらの寄り添いが聴ける。竹下といえば朝ドラ出演は本作が『ぴあの』、『純情きらり』、『ゲゲゲの女房』、『わろてんか』に続く5作目、言わずもがなの大ベテランである。『純情きらり』ではヒロインの亡き母親役と語りも務めた。

 やはり同じ“語り”でも、母親となるとより娘である主人公への感情移入や、近くで見守れなかった無念も大きいのか、語り方や口調にも“距離の近さ”が感じられる気がする。特に、『純情きらり』では、ヒロインの三女・桜子(宮崎あおい)が母親譲りの性格の持ち主であったため、語りを務めた母・マサの視線からすれば、より一層のこと“自分を見ているような”頼もしさと同時に恥ずかしさや“見ていられなさ”もあったのだろう。主人公が思い悩んだり躓いたりした際には気が気ではない様子や歯痒さが切実に伝わってきた。

 本作での“語り”では、祖母、かつ牡蠣という立ち位置で、もう少し客観的な“遠からず近からず”な適度な距離感が保たれているように思える。自分のやりたいことがはっきりとは見えない暗中模索の中にいる百音には、両親のようにヤキモキする様子ではなく、それくらいの距離感からの“語り”がちょうど良い。

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