『はな恋』のAwesome City Clubも 本人役で映画に登場するミュージシャンが果たす“機能”とは

『はな恋』のAwesome City Clubも 本人役で映画に登場するミュージシャンが果たす“機能”とは

 菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた映画『花束みたいな恋をした』が大ヒットとなっている。本作は、映画や音楽、小説などの趣味が合うことをきっかけに意気投合した2人の、5年間にわたる恋の物語だ。劇中には2人が愛するポップカルチャーが随所に散りばめられ、物語のなかで重要な役割を果たしていく。そのなかでも、本作にはAwesome City ClubとそのメンバーであるPORINが本人役で登場したことが話題になった。これまでにも映画にミュージシャンが本人役で出演してきた例は多くある。では、ミュージシャンが本人役で映画などに登場することには、いったいどのような意味や効果があるのだろうか。今回はその機能について考えていきたい。

キャラクターの好みから性格を映し出す

『花束みたいな恋をした』mugikinu Photo Memories / Music by Awesome City Club「勿忘」

 『花束みたいな恋をした』(通称:はな恋)では、Awesome City Clubが実在のバンドとして本人役で出演している。本作で言及される数多くのミュージシャンたちのなかでも、彼らが出演することになったのはなぜだろうか。それは彼らが、知る人ぞ知る的な存在だからではないだろうか。『はな恋』の主人公2人はポップカルチャーファンで、ヒットチャート系の流行アーティストを追うというよりも、よりインディなシーンで注目されているものを選び、自分だけの世界に浸っているタイプだ。そういった彼らがAwesome City Clubの楽曲をよく聴いていることで、2人の音楽に対する感度の高さを表現することができる。同じように2011年の映画『モテキ』でも、森山未來が演じた主人公・藤本幸世はサブカルチャーを愛するキャラクターだった。同作にはやはりN’夙川BOYSや女王蜂など、数多くの新鋭アーティストのライブシーンが登場し、その好みから幸世の性格をうかがい知ることができる。

 キャラクターを特定のアーティスト、特にいわゆるメジャーどころではないアーティストのファンとすることで、その個性を表現することができるのではないだろうか。

時代を映し出すポップカルチャー

 またミュージシャンが本人役で映画に出演することは、その時代を表現するのにもうってつけだと言える。『はな恋』や『モテキ』に出演したアーティストたちは、「現在」の空気感をとらえた最先端の存在だ。音楽をはじめとするポップカルチャーは、時代を色濃く反映する。そのため、アーティスト本人が登場することで劇中に時代の空気感を再現することができ、フィクションと現実のリンクをより強固にする働きがあると言えるだろう。

 時代を表現するために実在のミュージシャンが本人役で登場した作品として、少し変わった例をあげるなら、ティム・バートン監督の『ダーク・シャドウ』(2012年)がある。18世紀に眠りにつき、20世紀に復活したヴァンパイア、バーナバス・コリンズは、すっかり没落してしまった家業を立て直すために奮闘する。この作品には、ロック界の重鎮アリス・クーパーが本人役で出演した。しかし同作の舞台は1970年代。そのショッキングでシアトリカルなスタイルで、当時の若者の心をつかんだ若き日のアリス・クーパーが、当時のヒットソングを演奏するシーンから70年代という時代を表現しているわけだ。しかしそれを映画公開当時すでに60歳を越えていた本人が演じたのには驚かされる。40年前の彼の姿を再現するために、メイクや照明など様々な技術が駆使されたという。ダークファンタジーである同作に、アリス・クーパーが本人役で出演することで現実とのリンクが加えられたことも興味深い。

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