ディーン・フジオカ×井浦新『レ・ミゼラブル』を通して感じる“平成の30年”の揺らぎ

『レ・ミゼラブル』が映す“平成の30年”

 1月6日夜9時より、ディーン・フジオカ×井浦新W主演スペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ系)が放送される。『レ・ミゼラブル』は、ヴィクトル・ユゴーによって1862年にフランスで生まれた大河小説。それから150年超、ミュージカル、映画、ドラマ、アニメ、漫画と、各時代に応じた作品として語り継がれてきた名作が、“平成の30年”を舞台に描かれる。

 物語は、1991年〜1995年の神戸を舞台にした第1幕から始まる。主人公の少年・馬場純(吉沢亮)は正当防衛の末に、母を騙した斎藤太(寺脇康文)を殺めた罪により刑務所に入っていた。真面目に罪を償っていたところに、病気の弟が危篤であるという連絡が入る。特殊な血液型の弟を救えるのは自分しかいないと知っていた純は、思わず脱走してしまうのだった。しかし、間に合わなかった純。絶望の果てに、自殺しかけたところを、自立支援施設を営む徳田(奥田瑛二)に助けられ、そこで弁護士を目指す少年・拓海(村上虹郎)と出会う。この出会いが、純の人生を大きく変えることに……。

 一方、純(ディーン・フジオカ)に父親を殺された涼介(井浦新)は、正義感の強い刑事になっていた。2004年の東京を舞台にした第2幕では、身分を隠して生きる純と、その正体を暴き、追う涼介との攻防が描かれる。純を「絶対に赦さない」と心に決め、追い詰めていく涼介。だが、純に迫るほど何が善で何が悪なのか、次第に心が揺さぶられていく。そして、第3幕は2018年の福島へ。それぞれが抱える痛みと想いの先に、何が待っているのか。

 改元を直前に控えた今、改めてこのドラマを見ると、平成という時代のゆらぎを感じることができるはずだ。1995年の阪神・淡路大震災。少年法の議論を呼んだ1997年の神戸の児童殺傷事件。そして2000年代には、全国的に横行したオレオレ詐欺、さらに認可外保育施設(無認可保育園)で起きた悲劇や、2011年の東日本大震災……。『レ・ミゼラブル』の原題が意味するところは、“悲惨な人々”、“哀れな人々”。文字通り、悲惨で哀れな事件・事故・災害が多かった平成の30年間を、私たちはどう生きたか。そして新しい年を、新たな時代を、どう生き抜くかを考えさせられるドラマだ。

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