視聴者、キャスト、スタッフの“愛”が溢れた『ひよっこ 紅白特別編』 有村架純の紅組司会を振り返る

 昨日、2017年12月31日に放送された『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)は、朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)尽くしの放送となった。それを代表するのが、2年連続紅組の司会を務め、『ひよっこ』では、ヒロインみね子を演じた有村架純の存在だ。

 今年より初めて設けられた「グランドオープニング」では、『ひよっこ』の劇伴を務めた宮川彬良のジャズオーケストラに乗せ、紅白出演者がリレー形式にて登場。その中で、有村は『ひよっこ』のマスコットキャラクターでもあるイチコの頭を劇中と同じように振ると、あかね坂商店街に煌びやかな明かりが灯り始める。イチコの後ろには、「ひよっこお疲れ様でした」という看板が置いてあるという憎い演出付きだ。ここで一気に『ひよっこ』ファンの火が再燃。Twitterには、多くの『ひよっこ』ツイートが溢れていた。

 もちろん、こんな演出があるのも紅白内の『ひよっこ 紅白特別編』の放送が発表されていたからだ。そもそも、『ひよっこ』は脚本家の岡田惠和が「約10年に凝縮してゆっくり進んでいく」という構想の物語であった(参考:【インタビュー】岡田惠和|特集|連続テレビ小説「ひよっこ」|NHKオンライン)。しかし結果的に、劇中で、みね子たちの年月は4年間しか進んでいない。それほどまでに、全156回の物語は濃く、愛が詰まった登場人物たちによる作品だった。幻のストーリーとして始まった特別編は、昭和43年(1968年)大みそかが舞台。みね子と秀(磯村勇斗)が結婚して3カ月後、新婚ほやほやの時期である。すずふり亭には時子(佐久間由衣)をはじめとした乙女寮のメンバーや宗男(峯田和伸)らが集結。スランプの漫画コンビや養女を迎え入れた幸せな福田家、愛子(和久井映見)と省吾(佐々木蔵之介)のラブラブっぷりが垣間見える。

 そこに突如現れるのが、浜口庫之助(桑田佳祐)。最終回で谷田部家が歌った「涙くんさよなら」を生んだ昭和のヒットメーカーである。桑田は『ひよっこ』主題歌「若い広場」を歌っているだけでなく、過去に『SONGS』(NHK総合)で、自身のライブに乙女寮の面々が訪れるという設定で有村たちと共演していた。『ひよっこ』の物語には、常に昭和歌謡が流れていたが、こうして桑田が「涙くんさよなら」を劇中にて歌唱するのは必然だったようにも思える。

 また、桑田は紅白出演歌手としても「若い広場」を歌唱。出演前には、みね子の両親役である沢村一樹と木村佳乃が舞台に駆けつけた。審査員席には、鈴子役の宮本信子もいる。沢村は「みね子!」と総合司会の内村光良に抱き寄るという小ボケをかまし、「お父ちゃんは記憶が戻ってないみたいで……」と木村が劇中の設定を活かしたフォローを入れる。有村が沢村に「みね子だよ?」と再会シーンでの名セリフを再現する一幕も。有村は、中継の桑田へ「約10カ月に渡って演じられたのも、この曲があったからです。何度もこの曲に助けられました。感謝の気持ちを込めて」とバトンを渡す。

 桑田が歌い終えると、宮本は「もう、楽しかったです。『ひよっこ』の時代っていうのは本当に情があって、なんかいい時代だなって今と比べてそう思ったりもします。そして今、この歌をお聞きしながらドラマの架純ちゃんも一生懸命やって、そういうことも思い出し、シーンの一つひとつがこれから家へ帰ってからも思い出すのかしらなんて思っています。桑田さんどうもありがとうございました」と感謝のコメントを述べていた。

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