監督業挑戦にも意欲! 『アサシン クリード』マイケル・ファスベンダーが語る映画製作の醍醐味
マイケル・ファスベンダーが主演を務める映画『アサシン クリード』が3月3日より公開された。全世界で累計9600万本以上を売り上げた人気ゲームを映画化した本作は、遺伝子操作によってアサシン(暗殺者)として活躍した祖先アギラールの記憶を呼び覚まされた男カラム・リンチが、歴史に隠された真実に挑むミステリー・アクションだ。リアルサウンド映画部では、本作で主演とプロデューサーを兼任したマイケル・ファスベンダーにインタビューを行った。『マクベス』に続いてのタッグとなるジャスティン・カーゼル監督への信頼や、プロデューサーとしての仕事、そして今後の展望についてまで語ってもらった。
「今回の作品はアクションが本当にうまくいっている」
ーー人気ゲーム『アサシン クリード』を映画化するにあたり、『マクベス』でタッグを組んだジャスティン・カーゼルを監督に推薦したのはあなただったそうですね。
マイケル・ファスベンダー(以下、ファスベンダー):そもそも僕は、彼の長編デビュー作『スノータウン』から大きな影響を受けていたんだが、彼を推薦したのは『マクベス』での経験によるものが大きかった。ジャスティンは限られた資金や人員など、与えられた枠組みの中で非常に素晴らしい戦闘シーンを撮り上げた。キャストやスタッフとの関係性の築き方も素晴らしくて、優れたリーダーシップを発揮していたから、今回『アサシン クリード』の話が出たとき、ぜひ彼にやってもらいたいと思った。『マクベス』がカンヌ国際映画祭で上映された時には5分〜10分にも及ぶスタンディングオベーションが起こったんだ。リアリズムとともに、物語をビジュアルでうまく語ることができる監督だね。だからファンタジー映画にもピッタリだと思ったんだ。
ーーあなたは今回の作品で、15世紀のスペインに生きるアギラールと、2016年のスペインに生きるカラム・リンチの2役を演じていますね。アクションシーンが大きな見どころのひとつですね。
ファスベンダー:アギラールは自分を犠牲にしてでも目的を果たすために何かをやり遂げる、寡黙で肉体的な、西部劇的な側面がある人物だ。一方のカラムは若い頃から苦労を重ねていてまったく人を信じない人間だが、遺伝子記憶を呼び覚ます“アニムス”の体験によって、その考え方が次第に変化していく。ふたりはまったく異なる人物だね。今回の作品の見どころのひとつがアクションシーンなんだけど、アギラールは特にナイフや弓矢を使うなど、とても様式化された格闘シーンが多かった。これまでも『300』や『マクベス』などの作品で格闘シーンや乗馬シーンは経験していたけれど、きちんと振り付けされた殺陣がほとんどだったから、今回のパルクールは自分にとって新たなチャレンジになったね。
ーー今回はプロデューサーも兼任されていますが、どのような経緯で?
ファスベンダー:もともとはゲームの『アサシン クリード』を発売しているユービーアイソフトから俳優としての出演を打診されたんだけど、ゲームの世界観に興味を惹かれたから、ぜひ僕の制作会社(DMC film)で共同製作がしたいと申し出たんだ。DMC filmでは2015年に『スロウ・ウエスト』という作品も作ったんだけど、予算が200万ドルぐらいで、キャストもスタッフも小規模なものだった。今回はスタッフだけで300人いるぐらいのとても大規模な作品だったから、これも大きなチャレンジだったね。プロデューサーとしては、脚本を作るプロセスから監督の選定やキャスティングなど、初期段階からかなり動いていた。脚本に関してはストーリーを作り上げるところからスタートしているから、中世のスペインの生活様式や衣服、エチケットなど、細かいところまで徹底的にリサーチもしたよ。撮影中も監督のジャスティンと話し合いをしながら、編集にも少しだけ携わったんだ。
ーー完成した作品をご覧になった印象は?
ファスベンダー:初めて作品を観るときはいろんなところに目がいってしまうものなんだ。自分の演技に納得いかない点や間違いなどがあった場合は特にね。そういった意味では、客観的に観ることができないとも言える。ただ今回の作品は、アクションが本当にうまくいってると感じたよ。特にカラムが2回目に過去に行く場面だね。あと今回はほとんどCGを使っていないんだけど、アニムスのシーンだけはCGを使っている。僕らも撮影の段階ではあのシーンがどうなるかわからなかったから、完成した映像を実際に観てすごく興奮したよ。