勝間和代、そこまでやるの!? 『勝間家電』が突きつけるテクノロジー活用生活の全貌

1月15日のAmazon売れ筋ランキング「本」部門で14位にランクインしていたのが、『仕事と人生を変える 勝間家電』(ダイヤモンド社)だ。経済評論家としての活動に加え、教育やキャリア形成、ライフスタイルに関する発信でも知られる勝間和代氏が、自ら実践する「テクノロジーをフル活用した生活」について書いた(広義の)ビジネス書である。
現代のテクノロジーで生活をどこまで効率化できるのか
ビジネス書はAmazon売れ筋ランキングの常連で、常に数冊がランクインしている。そんな中でも、本書はちょっと変わった切り口の一冊と言っていい。というのも、『勝間家電』は仕事の進め方だけではなく、家事・移動・資産形成・電子機器・料理・健康維持など生活のあらゆる面を、現代のテクノロジーで効率化するためのノウハウについてまとめられたものなのだ。著者の勝間氏は家電に関する発信も多いので『勝間家電』というタイトルになったのだろうが、内容的には「テクノロジーとサービスを利用して、生活を極限まで効率化する方法」といった感じである。
正直、勝間氏の本を読むのは初めてだったが、まずはその「効率厨」ぶりに恐れ入ってしまった。手元の本は全て電子化し、服はサブスクサービスで入手し、登山家のごとく持ち歩くカバンと内容物の重量を削りまくり、メガネやコンタクトレンズのつけ外しの手間を省くためレーシック手術も受ける。資産は自動で貯め、生活の全てをスマートウォッチで管理し、格安SIMを突っ込んだスマホを4台使い、調理家電まかせで健康的な食事をとる。生活の中で外注できる要素は金を払って極限まで外注に回し、それによって発生した余裕によって生産性を上げ、キャリアアップを図り、余暇を楽しむ……。モノに埋もれながらボンヤリとした生活を送り続けている自分からすれば、「そこまでやるの!?」と驚愕するしかない、超効率的な勝間氏の生活が綴られている。
このように常人離れした効率化について書かれた本なので、まず冒頭には「勝間家電をはじめる前に」というプロローグが置かれている。家電やサービスを購入する上での基本的な心構えや、「本当に必要なものだけを増やし、そうでないものは極力手放す」というリソース管理方法、そして「電気代にビビるな」という教えを頭に叩き込んだ上で、勝間流効率化の具体的な説明に入る。導入から実践への導線がよくできている。
健康的な効率化について書かれた「奇書」
また実践に関して言えば、具体的なテクニックが列挙されているだけではなく、使っているサービスや商品名とその価格が本文の該当箇所の横に書き込まれており、気になった商品やサービスはその場で検索して導入できるようになっている点がこの本の売りだろう。なぜその製品やサービスを導入するのか、その製品を勝間氏がどう使っているのかが具体的に理由が書かれた上で、細かいアイテムであっても価格と商品名が横に書かれているという構成は、人をやる気にさせるに十分である。身だしなみから仕事の道具、調理家電から移動のためのレンタサイクルサービスまで、やろうと思えばその日から真似ができるのだ。
とはいえ、筆致は決して押し付けがましくない。終始「私はこういう感じで仕事や生活をしていて、試行錯誤の結果この方法が最良と思っているので、やってみたい人はやってみてくださいね」というテンションで貫かれており、効率的な暮らしをしていないひとを非難するニュアンスはさほど感じられないし、逆に激烈に効率化を推してくる熱さもない。「当たり前ですが、こうした方がいいと思います」という平板なテンションで、ズボラな人間からすれば過剰にすら思える「健康的な効率化」へのプロセスと情熱が綴られており、言葉は悪いが「冷静な変態」の語りを聞いているような面白さがある。そういった意味では、本書はかなり「奇書」の範疇に足を突っ込んでいるのかもしれない。
真似できそうな部分だけをつまみ食いする
もうひとつ、本書の内容はあくまで勝間氏自身が「こうするといいと思う」という生活スタイルを実践し、その具体的な方法を記述したものであるため、現在の勝間氏に近い条件が揃っていないと真似できないところがある点にも注意が必要だろう。たとえば子育て中の家庭では「外出時の手持ちの荷物を極限まで減らして軽量化する」というのはどうしても難しいだろうし、サブスクサービスにしても提供範囲が限られているものもある。どこまでも歩ける靴を手に入れたところで、移動が車中心のエリアでは使い所がないだろうし、鉄道網や自転車のレンタルが充実しているのは都会だけだ。
勝間氏が提唱しているライフスタイルは基本的に「仕事・生活でアウトソーシングできる部分は積極的にテクノロジーやサービスを使ってアウトソーシングし、できた余裕をフル活用する」というものである。これを完全にフルスペックで真似しようと思うと、おのずと「都内かそれに準じる都市圏に住む、それなりに収入のあるホワイトカラーの労働者・事業主」という条件が必要になってくる。かなり過激な事例を紹介した本でもあり、「地方都市の郊外の団地で3歳児を育てている」という現在の自分の条件では、「これはちょっと無理だな……」というテクニックもそれなりにあったのは事実である。
と書いたものの、前述のように「過激な効率厨が冷静に自分のライフスタイルを紹介し、使える製品・サービスを推している本」として読めば、確かに面白いところは多々ある。「こんな家電やサービスがあるの!?」と驚くところも数多くあり、また単純に「スマホの入力がちょっと遅れることにすら無駄を感じる」という感覚の持ち主がどうやって生活しているのかを知るのは興味深かった。おそらく本書のちょうどいい使い方は、勝間氏のあくなき効率化への情熱に半分引きながら、自分の生活に取り入れられる部分だけを素直につまみ食いするような形なのではないだろうか。「現代のテクノロジーやサービスを、使えるだけ使い倒す」という意欲がそれほどない、超がつくめんどくさがりの自分にとっては、喝を入れられるような一冊だった。
■書誌情報
『仕事と人生を変える 勝間家電』
著者:勝間和代
価格:1,870円
発売日:2025年10月8日
出版社:ダイヤモンド社










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