世界を驚かせた名作ミステリが装い新たに 『薔薇の名前』完全版

ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』完全版(東京創元社)が12月25日頃に発売される。
【画像】ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』、ホログラム箔を使用した豪華な特別カバー
上巻を赤、下巻を青とし、カバーの中心に物語の核となる「文書館」(エーコ本人が描いたイラストを使用)を据え、箔押しで作品タイトルをあしらった、重厚感あふれる装丁で発売される『薔薇の名前』。初回出荷分限定でお届けする、特別カラーの箔押しカバーが発表された。
デザインは、E・T・A・ホフマンの『牡猫ムルの人生観』やエリック・マコーマックの『雲』、ジェフリー・フォード『言葉人形』『最後の三角形』他、数多くの小社刊行物の装丁を手がけられている柳川貴代が担当。『薔薇の名前[完全版]』は高級感のある箔押しカバーを採用。その初回配本分は瀟洒しょうしゃなホログラム箔と黒箔の二種類の箔を使用した特別仕様となっている。正面タイトルと背の部分には、見る角度によって色味が変わり陰影を感じさせるホログラム箔を使用。さらに正面表紙に描かれる文書館の図版と原著タイトルを黒箔であしらい、より重厚感を演出している。『薔薇の名前[完全版]』の特設サイトもオープンされた。
物語は老修道士アドソが、見習修道士時代のある七日間の出来事を回顧しながら綴った手記のフランス語訳を、エーコが手に入れたことから始まる。そこに記された、中世北イタリアの修道院で起きた修道士連続怪死事件が、聖務日課の時系列に従って、語られていく。事件の秘密は知の宝庫ともいうべき迷宮の文書館にあるらしい。記号学者、哲学者、文芸評論家、中世文化研究者であった知の巨人ウンベルト・エーコが、その知をあますところなく注ぎ込み、全世界の読書人を驚嘆させた20世紀最大の問題小説の[完全版]である。作者自身による構想時のメモ、デッサン、そして刊行直後に発表された覚書なども収録。
ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)
1932年、北イタリア、アレッサンドリア生まれ。記号学者、文芸評論家、哲学者、文学者、作家。トリーノ大学で中世美学、トマス・アクィナスを研究。卒業後、イタリア放送協会(RAI)の文化番組や出版社ボンピアーニの評論部門に関わる。ミラーノ大学、フィレンツェ大学を経て、ボローニャ大学の記号論の教授に就任。同大学名誉教授。著書に『薔薇の名前』、『フーコーの振り子』、『プラハの墓地』、『記号論』、『開かれた作品』他多数。2016年2月没。
■書誌情報
『薔薇の名前[完全版]』
著者:ウンベルト・エーコ
訳者:河島英昭、河島思朗
価格:上巻3,300円、下巻3,520円(税込)
発売日:2025年12月25日頃
出版社:東京創元社
























