【漫画】デートに寝坊で二時間遅刻、許されるためには? 関係性が尊い『幽霊と疲れた会社員』

仕事のミスや寝坊など失敗して落ち込んだとき、隣で誰かが見守ってくれていたら――。漫画『幽霊と疲れた会社員』の一編『取り返しのつかない失敗をしたらこうすればいい』が、Xで共感を集めている。
作者の中山ゆきさん(@yukiyuki_nkym)は、かつて抱いた孤独感から生まれた本作で「幽霊」という存在に寄り添う視線を託した。そんな彼に4コマという形式やキャラクターの在り方、そして創作の背景について聞いてみよう。(小池直也)
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――Xに上げてみた手応えはありますか。
中山ゆき(以下、中山):今まで読んでくれていた方々の外まで広がったような感触がありました。あとは読者の方ご自身の経験と重ねて「失敗したけど大丈夫だと思えた」という感想が印象に残っています。
――このエピソードで「寝坊」から始まる展開にしたのはなぜでしょう?
中山:自分もやってはいけないタイミングでやってしまったこともありましたし、あとは本作の主人公は困っている時が一番いい反応をしてくれるんです。それに気付いたのがちょうど本エピソードを描いている頃で。だから追い込んで困らせたらどうなるのかなと(笑)。「頑張って何とかしてくれ」という気持ちで描いた記憶があります。
――4コマで普通の漫画のように進む時間軸とタイトルだけで幽霊が喋る、という構造がユニークです。これについては?
中山:あまり見ない構成かもしれません。好きな4コマ作品の方法論を組み合わせつつ自分なりにアレンジした結果、今の形に落ち着いている感じです。
――中山さんが考える「4コマ漫画」とは?
中山:ざっくり2種類あると思っています。まずは話がサクサク進んでわかりやすい効果がある「出来事が連続するもの」。もうひとつは展開が少ない代わりにキャラに感情移入できる「感情の描写が連続するもの」ですね。
僕が重きを置いているのは後者。物語が進むスピードは追わず、主に感情を拾っていければと。ただ自分も読者と同じ目線で描いているので、少し展開がほしいなと感じたらスピードを出すなど、バランスを取るようにしてます。
――縦読み漫画が増えていますが、それと4コマの物語は同じようで違うなと改めて思いました。
中山:縦スクロールの作品は展開や出来事が多くて刺激的なものが多く、コマの大きさが変わらない4コマは淡々としている印象がありますね。僕は一息つける漫画を目指していた部分もありました。
――頻繁に作品を更新・公開されていますが、どのくらいのペースで執筆されていますか?
中山:以前は4コマ2本を毎日描いていました。最近は平日にコマを割った漫画を3ページずつアップしてますが、ずっとキャラと接していると特性を理解できてくるんですね。そうすると、とりあえず困らせたり、一杯一杯な状態にすれば物語が動いていくのでネタに困ったことはありません。
――改めてにはなりますが、なぜ幽霊と会社員を題材に?
中山ゆき:僕自身、働いていて辛かった時期があり、当時は孤独感から「頑張っても誰も見てくれない」という気持ちが強かったんです。でも後で振り返ってみると意外と見てくれる人はいたんだなと気付いたんですね。そんな経験から、自分のように疲れた人間のイメージとして会社員を、声はかけないけど見守ってくれる誰かを象徴する存在として幽霊を登場させました。
――クリエイターは孤独と隣合わせだと思いますが、中山さんは仲間が必要なのですね。
中山:孤独には耐えられないですね……。できるだけ多くの人と深いコミュニケーションを取りたいという気持ちがあります。それをするためには漫画を描くことが一番なんじゃないかなと。僕にとって漫画を描くことは、手紙を書いて送るようなイメージなんです。
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■中山ゆき X(@yukiyuki_nkym):https://x.com/yukiyuki_nkym
note(先読み公開中):https://note.com/yukiyuki_nkym






















