“雨の日の万博”はほとんど苦行? 事前準備を怠った筆者が後悔したこと

マイナーな国のパビリオンも興味深い

とにかく、早く屋根の下へ……人気のパビリオンをすっかり諦めて、どうにか入れそうなところを探してウロウロしていると、比較的空いている列があった。『セネガル館』の列だ。本当は隣のエジプト館に興味があったが、入場規制がかかっているので選択の余地はない。迷わず並んで、5分ほどで中に入ることができた。





セネガルはアフリカの西海岸に位置する国で、フランス領時代の遺物やさまざまな自然公園があるという。入り口付近の映像では、日本風の衣装を着た男性が刀を振るいながら、これからのセネガルの発展を宣言している。ボードにはセネガルの歴史や未来のビジョンが写真と文章で説明されているのだが、これは日本語訳も欲しかったところだ。過去には奴隷貿易の拠点となったゴレ島の絵も飾られており、歴史を振り返る上でも貴重な展示となっているはず。来場者からも翻訳を希望する声があるそうなので、開催中に日本語訳が付くことを期待したい。
セネガル館の他にも、伝統的な織物で民族の宇宙観を表現するチリ館、ヒンドゥー教徒が多く独自の若者文化が生まれているバングラデシュ館、ガイアナや東ティモールなどさまざまな国の展示を一挙に鑑賞できるコモンズB館などは鑑賞することができた。もともと見たかったパビリオンには残念ながら入れなかったが、これまで興味を抱く機会もなかった国々の文化に触れることができたのは収穫だろう。むしろ、偶然に入ったからこそ、世界の国々の多様性をリアルに感じることができたのではないかと思う。


雨天時の休憩や食事には工夫が必要
ところで、大屋根リング以外の会場内での休憩所というと、至るところにベンチなどが設置してあるものの、雨の日はびしょ濡れでほとんど座れる状態ではない。大屋根リングに囲まれた会場内は方向感覚を失いがちで、目当てのポイントに辿り着くのに想定以上に時間がかかることもある。あまりゆっくり休める状況ではないので、体力には十分に留意されたい。
また、話題となった『スシロー 未来型万博店』はじめ、会場内のさまざまなところにユニークな飲食店があるものの、予約が必要な店舗も多く、食料の調達には苦労するはずだ。値段も高い(弁当ひとつ2,500円も!)。会場内にセブンイレブンなどのコンビニも出店しているが、こちらも1時間待ちはザラだ。食料調達で時間を失いたくないという方は、食べ物の持ち込みも可能なので、事前にコンビニのおにぎりやペットボトルのお茶などを準備していくのが良いだろう。
さて、あいにくの雨でほとんど苦行のような万博観覧だったが、要領がわかったので次回はもっとエンジョイできそうだと感じた。良くも悪くも想像以上のスケール感で、辛いこともあったけれど、やっぱりもう一度行ってみたいと思った。
以下、筆者が気づいた限りのポイントをまとめておくので、これから行こうと考えている方はご参考に。他の方も指摘していることが多いと思うが、あしからず。
・会場内には基本的にロッカーがないので、重い荷物は駅やゲート付近のロッカーに預ける。ベストなのは、そもそも最低限の荷物しか持たないこと。ちなみに会場内に大きな荷物を預けられるところがあったらしいのだが、その料金はなんと1万円だとか!
・どうしても見たいパビリオンは絞る。そしてしっかり予約する。そもそも予約が取れないことも多いらしいので、第二候補、第三候補と考えておくことも忘れずに。
・雨天時は休憩できる箇所も減るので、大屋根リングを活用する。レジャーシートなどがあると便利。
・移動にも大屋根リングを活用する。これもあとから知ったのだが、会場内の移動はEVバスを活用すると良いらしい。
・足元も濡れる。雨の降り具合によっては長靴にしたほうが良いかも。
・パビリオン内に傘を持ち込めないケースが多い。パッと収納できる雨具があると便利。
・飲食店は並ぶし高い。弁当やコンビニ飯などの持ち込み推奨。
・おおらかに楽しむ気持ちを持つ。あれもできなかった、これもできなかったと考えると悲しい気持ちになるので、大屋根リングに登れたらOK! くらいの気持ちで行った方が良い。
・とにかく予習が大事。行き当たりばったりで行くと、筆者のようになる。冒頭で紹介した『公式ガイドブック』の他にも、万博のガイドはいろいろと出ているので、以下を参照されたい。会場内で販売されている「公式スタンプパスポート」もおすすめだ。



![Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2025年 6月号 [万博と建築] [雑誌]の商品画像](https://m.media-amazon.com/images/I/51bzkR7bCsL._SL500_.jpg)























