『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』他のガンダム作品と何が違う? ドカ盛り第4話から今後を考察

『GQuuuuuuX』ドカ盛り第4話から今後を考察

■『機動戦士ガンダム GQuuuuuuX』第4話がトレンド

 「地球へ行きたい」というシュウジと赤いガンダムの願望、「普通」にウンザリしているマチュ、赤いガンダムへの復讐心に取り憑かれた「魔女」シイコ・スガイのスティグマ戦法、そして初めて明確に描かれたクランバトル中の戦死、その戦闘からかなり危なげな悟りをひらいてしまったマチュと、盛りだくさんの内容だった『機動戦士ガンダム GQuuuuuuX』(ジークアクス)第4話。

  特にぱっと見は優しげで人の良さそうなお母さんといった雰囲気ながら、実は元地球連邦軍の撃墜王で、赤いガンダムへの強烈な執着をむき出しにして戦ったシイコ・スガイの姿は、視聴者に強烈な印象を残した。「自身もニュータイプ能力の片鱗を見せながら、ニュータイプだと思っていたマヴをシャアに撃墜され、ニュータイプの存在そのものを強く否定している」というシイコのスタンスは、本作におけるニュータイプという存在の複雑さをよく表している。

  一方で、今後の展開を見通す上でいささか気になる箇所もあった。それが第4話の中で説明されていたギレンとキシリアの関係である。『GQuuuuuuX』世界では連邦に勝利して、地球圏の覇者となったはずのザビ家。ガルマはすでに軍を離れており、ドズルはソロモンで戦死。ザビ家の兄弟で表舞台に残っているのは、長兄ギレンと長女キシリアのみとなっている。

  原典である『機動戦士ガンダム』でも対立し、最終的にはキシリアがギレンを射殺するところまでいった二人だが、ジオンが勝利した『GQuuuuuuX』でもその対立は激しいようだ。第4話ではイズマコロニーの政府関係者とみられる2人のセリフで、連邦に勝利したジオンの次の戦争はギレンとキシリアの覇権争いであり、どちらが勝つにしてもシャアが乗っていた赤いガンダムの存在が邪魔になることが語られている。

『月刊ニュータイプ』2025年5月号(KADOKAWA)

  この状況に関して、鶴巻監督の気になる発言が掲載されているのが『月刊ニュータイプ』2025年5月号だ。このインタビュー内で鶴巻監督は「戦後を扱うことへの思いは、どのようなものでしょうか?」という質問に対して「戦後というよりは、冷戦ですかね。僕が子供のころは冷戦まっただ中で、アメリカとソ連が直接は戦っていないんだけれど、いつ次の戦争が起こってもおかしくないような感覚の時代だった」「自分が体験してきた冷戦下の感覚を描くことで、ほかのガンダムにはない空気感を表現できるんじゃないかと」と発言している。

  興味深い発言である。史実の冷戦は、第二次世界大戦の勝者同士で戦われた、イデオロギーを主軸とした闘争だった。枢軸国に勝利した連合国のうち、アメリカを中心とする資本主義・自由主義陣営と、ソビエト連邦を中心とする共産主義・社会主義陣営が世界を二分して対立。両陣営は直接的な武力衝突を避けつつも、経済や思想から軍事や宇宙開発まで、あらゆる局面で激しい競争を繰り広げたのである。1989年12月には当時のアメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が冷戦終結を宣言し、終結したとされている。鶴巻監督は1966年生まれの59歳。冷戦終結時には23歳だったことになり、インタビューにあった通り子供の頃に冷戦の空気を感じて育った世代と言える。

  冷戦期を意識しているという『GQuuuuuuX』も、確かに一年戦争という巨大な戦いが終結した後の世界を舞台としている。一年戦争を第二次世界大戦に見立てれば、「戦勝国陣営内の対立」である冷戦にはギレンとキシリアの対立が当てはまるだろう。「冷戦下の感覚を描く」という鶴巻監督の発言を鵜呑みにするなら、一見すると一年戦争が終結して平和になったはずの『GQuuuuuuX』世界は、その裏面に米ソ対立並みに激烈なジオン内部の闘争を抱えていることになる。

  4話では現役配備中のモビルスーツであるゲルググがジオン軍のどこかから横流しされ、マグネットコーティングが施された上でエースだったシイコがパイロットとして搭乗した。この一連の動きには、なんとしても赤いガンダムを殲滅したいというジオン内部の動きが感じられる。「クランバトルの中で赤いガンダムを抹殺する」という動きにギレンかキシリアが関わっているのか、大いに気になるところだ。

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