速水健朗のこれはニュースではない
宅配ピザ「30分で届かなければ無料」とシリコンバレーのビジネスモデル、モンゴル帝国の共通点とは?

モンゴル帝国の強さは「宿駅制」にあった
さて、ピザ配達のビジネスは日本で始まって40年。とっくに頭打ちしていると思っていたらそうでもない。まだ成長している。近年の業界動向を見ると、ドミノの170店舗撤退が話題になったが、それはコロナ禍での急拡大の調整局面にすぎない。
現状は、ドミノ、ピザーラ、ピザハットのビッグ3の寡占状態にあるが、過去を見ると栄枯盛衰がある。かつては「ピザステーション」が一角を担っていた時代もあったし、「ピザ・カリフォルニア」が急成長したこともある。「ピザーラお届け」というキャッチコピーだけで90年代にトップになったのも象徴的だ。このコピーはずっと気になっている。「お届け」って、ていねいに“お”をつけているのに体言止めする。「ピザーラお届けします」ではないのか。それだと普通過ぎる。広告コピーとしては「お届け」が正しい。
『信長の野望』の話をしたが、僕が1985年頃に夢中になっていたシミュレーションゲームは、同じ光栄の『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズだった。前半はテムジン(チンギス・ハン)がモンゴルを統一し、後半で世界制覇に挑む。モンゴルという国は、地理的に中国とロシアという大国に挟まれ、海もない。この初期配置で、よくあれだけの帝国を築けたものだ。ちなみにモンゴル帝国が強かったのは、馬の使い方もうまかったが、それ以上に「宿駅制」という情報ネットワークノードを整備したことが大きい。この点は、宅配ピザにもよく似ている。
■書籍情報
『これはニュースではない』
著者:速水健朗
発売日:2024年8月2日
※発売日は地域によって異なる場合がございます。
価格:本体2,500円(税込価格2,750円)
出版社:株式会社blueprint
判型/頁数:A5変/184頁
ISBN 978-4-909852-54-0 C0095





















