【ライトノベル最新動向:2025年4月】
アニメ化で脚光『ユア・フォルマ』新刊も SFからラブコメまで、4月の注目ライトノベル

菊石まれほのライトノベルを原作に、4月2日から放送が始まったTVアニメ『ユア・フォルマ』。人気声優の花澤香菜と小野賢章が共演することで話題だが、ストーリーも、脳が一種のコンピュータと化して記憶だけでなく感情までも記録できるようになった近未来の世界で、犯罪捜査のために脳にダイブする女性電索官のエチカと相棒のハロルドが難事件に挑むという、サイバーパンクでSFでミステリーとして評判だ。4月10日には原作の最新巻『ユア・フォルマVII 電索官エチカと枢軸の軋轢』(電撃文庫)が出て、エチカとハロルドに迫る危機が描かれる。
ハロルドとの別離に迫られたエチカが、追い打ちをかけられるように職権濫用の容疑で捕まり、どうあがいても覆せそうにない状況から逆転の道を探る。人間にそっくりなだけでなく意思すらも持っていそうなロボットが存在した場合、それは人間なのか違うのか。SFとして語られ続けているテーマに、謀略に挑むサスペンスとしての要素も乗ってワクワクさせてくれる。アニメ化をきっかけに第27回電撃小説大賞《大賞》となった第1巻『ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒』(電撃文庫)から読み始める人も出て来そうだ。
第31回電撃小説大賞で《メディアワークス文庫賞》と《川原礫賞》をW受賞した東堂杏子『古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象』(メディアワークス文庫)は4月25日発売。斉藤勇魚と斉藤真魚は男女の双子でそれぞれ大学に通っているが、勇魚は親友に恋人を奪われ真魚は最愛の人に捨てられる経験をして、荒んだり絶望したりといった日々を送っている。救いを求める2人を通して青春の痛みを描くストーリーだ。
『夏へのトンネル、さよならの出口』(ガガガ文庫)がアニメ映画化されて世界的な人気を得た八目迷。最近は『葬送のフリーレン』のノベライズでも知られているが、『夏トン』から始まった季節を題材にした作品群が4月18日発売の『終わらない冬、壊れた夢の国』(ガガガ文庫)でまとまる。足を踏み入れた人が消えて「人食い遊園地」と噂される遊園地に行った少年が、友人の少女に刺され気がつくと時間が巻き戻っていた。ループする時間の中で解決の道を探る展開に胸を打つストーリーが乗って楽しませてくれそうだ。
2014年から続くオキシタケヒコのSFシリーズ最新巻『筺底のエルピス 8 -我らの戦い-』(ガガガ文庫)も4月18日発売。鬼や悪魔と呼ばれる敵「殺戮因果連鎖憑依体」と戦ってきた人類に、月からの侵略が向けられスケールアップし、同じ敵と戦ってきながらいがみあっていた「門部」「ゲオルギウス会」「Ⅰ」の3組織が協力し合う。どこに向かって進んでいるのかを最新巻でも味わえそう。
そそられるシチュエーションを持ったラブコメも続々と登場。膳所々『一般人の俺を芸能科女子達が逃がしてくれない件。』(スニーカー文庫)は、国民的な人気俳優の隠し子でありながら、私立高校の進学科に進んだ蒼井優人が主人公。平和に過ごそうと思っていたが、芸能科の女の子たちにまとわり付かれるようになり、やがて父親の遺伝子が動き出して芸能科の試験に巻き込まれていく。才女たちに囲まれる賑やかな学園生活を体験しよう。4月1日発売。
岸本和葉『ダウナー系ギャルの雪河さんが、何故か放課後になると俺の家に通うようになった件。』(GA文庫)は、タイトルどおりにダウナー系ギャルに言い寄られるようになる男子高校生の、ドキドキ続きの日々を楽しめるラブコメだ。家に来てはシャワーを浴びて下着をはかずに出てくる美少女という、実生活ではまず起こらないシチュエーションに、自分だったらどうするかを考えてみたくなる。4月12日発売。





























