話題書『おしゃれのルール』大人女子になぜ刺さる? ファッション迷子のアラフォーライターが読んでみた

『おしゃれのルール』大人女子になぜ人気

■人気シリーズの最新刊は“おしゃれ”に特化

  2019年に発売された『自分をもっと好きになる【ハピかわ】かわいいのルール』(池田書店)という女子小学生向けの書籍が、ロングセラーを記録している。表紙にはキラキラおめめの可愛い女の子のイラスト。タイトルにも飾られた「かわいいのルール」というフレーズ。表紙からすると決して大人が積極的に手にしようと思える本ではない。

  だがSNSでは数年おきに度々バズり、成人の男女から「マネジメントのための本」「本質的な話に誘導する構成がすごい」「男性も読むべき」などと大絶賛。Amazonでも「大人でも勉強になる」「もっと子供の頃に早く知りたかったなと思う内容」など、大人目線でのレビューがズラリ。女児向けというカテゴライズを飛び越えて、実用書として異例のヒット作となったのである。

  そして2025年3月、同シリーズの最新刊が発売された。タイトルは『もっと自由にわたしらしく!【ハピかわ】おしゃれのルール』。今回は「おしゃれ」に特化した内容となっている。

■アラフォー社会人でも応用可能なテクがズラリ

『自分をもっと好きになる【ハピかわ】かわいいのルール』の中面より

  私は以前に『かわいいのルール』には目を通しており、その構成や本書の示唆する「かわいい」の真髄に思いきり舌を巻いた。正直に言って、けっこうな感銘を受けた。とはいえ、今回は『おしゃれのルール』である。当方、40代も半ばを過ぎた自由業の女性である。改めて読んでみて、果たして得るものはあるのだろうか。

 読了。すいません。これはほんとにすごいぞ!「おしゃれって何だろう?」という哲学的な投げかけから始まり、TPO別・気温別・推し活別・服の系統別のコーディネイト例、ファッションアイテムの種類や配色のアレンジなどなど。ファッションの基礎講座ともいえる前半部分が凄すぎた。おそらくどんな年代、どんな方向性のファッションであっても、応用をきかせて活用できる内容だ。

『もっと自由にわたしらしく!【ハピかわ】おしゃれのルール』の中面より

 昨今では「カジュアルおばさん」や「ロマンティックおばさん」など、妙齢ファッションがネット上で揶揄されることもあり、もはや何を着ればいいのかわからなくなっている私と同年代の女性は多いと思われる。

 というのも、私世代が読んでいたファッション系の書籍は、あくまでも流行を発信することが目的の雑誌がメイン。基本的な服の選び方なんて、誰も教えてはくれなかった。ゆえに現在、アラフォー以上の女性たちはおしゃれ迷子になりがちな傾向にあると思う。

 だからこそ。少なくとも私には、『おしゃれのルール』は刺さった。未だに20年前の青文字系ファッションを引きずって歩いている私には。自分の方向性を変えたいとまでは思わないけれど、心の片隅にこの本を置いておけば、漂流しかける自分のおしゃれ心の羅針盤にはなってくれそうだ。

■おしゃれは生活のベースが大事だと痛感

『もっと自由にわたしらしく!【ハピかわ】おしゃれのルール』の中面より

  後半になると、おしゃれ自体というよりも、清潔感や身だしなみ、服の扱い方、コーデの時間の使い方などを中心とした話になっていく。これを読んでいると、そもそも論として、おしゃれというのは生活のベースがしっかりとした人間であるからこそ映えるものであると痛感させられる。

 私がこの本を小学生時代に初めて目にしたならば、このあたりにもきっと心を撃ち抜かれたと思う。服装だけではないおしゃれさを意識しながら成長していっただろう。今の50倍くらい、丁寧な暮らしをしていた可能性が大だ。

 だが、中年にさしかかった今となってしまうと、学ぶべきポイントは多数あるのだが、もうそれらをパーフェクトに遂行することは難しいことも感じる。そういう意味では、やはり『おしゃれのルール』は、小学生の時分から読んでおくべき本なのだ。また、大人が読んでみて「子どもに読ませたい」と感じる本であることも間違いない。今よりももっと、身も心もおしゃれな女性たちで溢れている未来を期待させてくれる一冊だと思う。

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