人気漫画『よつばと!』作者・あずまきよひこが20年以上紡いできた「普通」という「奇跡」

『よつばと!』で紡がれた普通という奇跡

 さらに第16巻収録の「よつばとクリスマスツリー」(第105話)では、町の自転車店の店員(あだ名は「ひげもじゃ」)が、とーちゃんにこんなことをいう。「よつばちゃんは来年から小学校だっけ?(中略)じゃあ一緒に遊びに行くなら今ですよ」

 この、「一緒に遊びに行くなら今ですよ」という言葉を、おそらく「ひげもじゃ」は何気(なにげ)なく口にしただけなのだろうが、日に日に「お姉さん」になりつつあるよつばを知っているとーちゃんにしてみれば、「大切な日々の終わりが近づいている」という現実をあらためて突きつけられたようなものだ。

 とはいえ、子供の成長自体は別に悪いことではない、という意見もあるだろう。親の成長も然り。ならばこの先、『よつばと!』という物語は、これまでとはかなり違った形に変化していくことになるのかもしれない。そしてそれは、よつばもとーちゃんもまだ知らない、新たな親子関係の始まりでもあるのだろう。

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