OKAMOTO’Sオカモトショウ連載『月刊オカモトショウ』
オカモトショウ「マンガ大賞2025」ノミネート作品を語り尽くす! 『図書館の大魔術師』『ふつうの軽音部』……本命は?

ロックバンドOKAMOTO’Sのボーカル、そして、ソロアーティストとしても活躍するオカモトショウが、名作マンガや注目作品をご紹介する「月刊オカモトショウ」。今回は、オカモトショウが審査員をつとめた「マンガ大賞2025」二次ノミネートされた10作のなかから、特に注目すべき作品を紹介します!(森朋之)
※この取材は2月中旬に行われました
未読の面白いマンガに出会える「マンガ大賞」
——今年も「マンガ大賞」のシーズンがやってきました。ノミネートされたのは、『ありす、宇宙までも』(売野機子)、『女の園の星』(和山やま)、『COSMOS』(田村隆平)、『この世は戦う価値がある』(こだまはつみ)、『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)』(白川蟻ん,六つ花えいこ,秋鹿ユギリ)、『図書館の大魔術師』(泉光)、『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』(まるよのかもめ)、『どくだみの花咲くころ』(城戸志保)、『ふつうの軽音部』(クワハリ,出内テツオ)、『路傍のフジイ』(鍋倉夫)の10作です。
あと数日で投票なので、今、改めて読み直しているところです。この連載で紹介した『女の園の星』『路傍のフジイ』も入ってますけど、まだ読んでない作品もあったので。「マンガ大賞」のおかげで「面白いマンガ、いっぱいあるじゃん!」って思えたし、自分1人では見つけられなかったマンガと出会えて幸せですね。ツアー中(OKAMOTO'S 15th Anniversary FORTY SEVEN LIVE TOUR -RETURNS-)も楽しませてもらってます。
——どの作品が受賞するか?もそうですけど、未読の作品との出会いの場でもありますからね。
そうなんですよ。一読者としてめっちゃ面白かったのは『図書館の大魔術師』ですね。普段ファンタジーはあまり読まないんですよ、じつは。ここ数年は転生モノが本当に多くて、『ダンジョン飯』みたいな革命的な設定のマンガもありましたけど、だんだん重箱の隅をつつくような状態になってる印象があって。でも『図書館の大魔術師』はかなり王道のファンタジーだし、今後はちょっとSF的な要素も入ってきそうで、すごく引き込まれました。
——『図書館の大魔術師』の主人公は、小さな村に暮らす耳長の少年・アムン。本が大好きなのに、貧乏なので村の図書館を使うことができない。ある日、差別が存在しない本の都・アフツァックの図書館で働く司書(カフナ)と出会い、運命が動き始めるというストーリーです。
架空の世界なんですけど、図書館がすごく重要な役割を果たしているんですよね。貸し出している本は検閲されていて、それが正義の力として働いているんですよ。そうやって世界のバランスを保っていたんだけど、その役割を担っている人たちが年老いてきて、そのバトンが主人公に渡されるというストーリーなんですけど、均一を保っていたパワーバランスが崩れていくときに各勢力がどう動くか、というまさに“政治”という感じなんですよ。
——現在の情勢ともかなりリンクしていますよね。情報戦によって、あらゆるパワーバランスが強く影響されているっていう。
国同士が本を巡って牽制し合っているのもすごくリアルだし、めちゃくちゃ面白かったです。こういう時代にここまで手の込んだ王道ファンタジーを成立させているのがすごいし、「もっとファンタジーを読まなきゃ」という気持ちにさせられました。
『どくだみの花咲くころ』も面白いですね。癇癪持ちでクラスから浮いている子(信楽)と何でもそつなくやれる優等生の子(清水)の友情を描いているんだけど、導入がすごくよくて。
——空き地に信楽が入っていく姿を清水が見つけ。彼が帰ったあとでその場所にいくと、そこには独創的な形の草人形があった……という展開ですね。
「何この人形? すげえ!」って衝撃を受けるっていう。こういう視点のマンガはなかった気がします。ノミネート作品ではないんですけど、『言葉の獣』というマンガともつながっている印象があるんですよ。『言葉の獣』の主人公は言葉を獣として見ることができる共感覚の持ち主で、その能力に対してクラスメイトが興味を持つという話なんですけど、興味を持たれた側は自分の作ってるものに一切執着がないっていうところが『どくだみの花咲くころ』と共通しているものがあるのかなと。
——これまでにはなかった主人公像という意味では、『この世は戦う価値がある』もそうですよね。ブラック企業、セクハラ上司、モラハラ彼氏に対して、戦いを挑む女性を描いていて。
このマンガ、単行本のジャケットがめっちゃいいんですよ。内容的にはある種の“捨て身感”なんだけど、無理なく共感できるヒロイン像だと思います。カッコいい生き方だと思うし、誰のことも気にせず、やりたいことをやる姿に爽快感を覚える読者も多いんじゃないかな。やっぱり生きづらさを感じやすい時代だし、それがマンガにも出てきているというか。だから“もちづきさん”みたいにドカ食いに走る女の子もいるっていう(笑)。
——『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』ですね。おっとりとした営業事務の主人公・望月美琴が、高カロリーな料理を“ドカ食い”する日常を描くグルメギャグマンガです。
これもすごくいいんですけど、望月さん、ちょっと心配になりますね(笑)。夜中にカップ焼きそばを何個も食べたり、3000kcalオーバーのオムライスを一気食いしたり。グルメマンガの流れとして、ちょっと前までは「丁寧に食べる」みたいなノリが多かった印象があって。みんなも「こういう暮らし、いいよね」という感じで呼んでいたんだと思うけど、“もちづきさん”はぜんぜんそうじゃない。ドカ食いしちゃう人が実際にいるのはもちろん知ってるだけど、「ついにマンガになっちゃった」っていう(笑)。
——ドカ食い系のYoutuberは以前から人気でしたけどね。
そうですよね。もちづきさんは会社でもドカ食いして、血糖値が上がり過ぎて給湯室とかで気絶しちゃうんですよ。若いからいいかもしれないけど、ずっとやってると血管ボロボロになるよ……って言ってあげたいです(笑)。
























