OKAMOTO’S オカモトショウ連載「月刊オカモトショウ」第3回:女子高生のゆるい日常を描くギャグ漫画『女の園の星』

「月刊オカモトショウ」第3回:『女の園の星』

 ロックバンドOKAMOTO’Sのボーカルとして、そして、ソロアーティストとしても活躍するオカモトショウ。実は彼、高校時代から現在に至るまで漫画雑誌を読み続けてきたほどの”漫画ラバー”だ。本連載ではオカモトショウが愛する名作マンガ&注目作品を月イチでご紹介。作品の見どころや、おすすめのポイント。さらに作中に登場するお気に入りのセリフ、読みながら聴きたい名盤まで、マンガ愛を縦横無尽に語り尽くす。第3回で取り上げるのは、『女の園の星』(和山やま/祥伝社)。とある女子高を舞台に、先生と生徒の愛らしくもシュールな日常を描いた話題作だ。

『女の園の星』は合気道みたいなマンガ

——ショウさんが今回セレクトしたのは、FEEL YOUNGで連載中の『女の園の星』。「このマンガがすごい! 2021」オンナ編で第1位の注目作です。

『女の園の星』1巻(和山やま/祥伝社

オカモトショウ(以下、ショウ):今日も読み返しながら移動したんですけど、電車のなかで「んふっ」って笑い声をこらえきれなくて(笑)。既に評価されてるマンガですけど、まず言いたいのは「男も読め!」ですね。女性マンガ誌に連載されてますけど、性別、年齢を問わずに楽しめるギャグマンガなので。……ギャグマンガなのかな(笑)? とにかく笑えるし、面白いマンガであることはまちがいないです!

——確かに説明しづらいマンガですよね。作者は和山やまさん。『夢中さ、きみに。』で第23回文化庁メディア芸術祭マンガ祭マンガ部門新人賞を受賞。『女の園の星』は、商業誌初連載となります。

ショウ:舞台は女子校で、主人公は国語教師の星先生。生徒や他の先生との日常が描かれているんですけど、全体的にテンションが低いんですよ。『浦安鉄筋家族』みたいな力の入ったギャグで笑わせるマンガもあるけど、『女の園の星』はぜんぜん違っていて。合気道みたいな感じですね。握手するだけで立てなくなる、みたいな(笑)。力が抜けた笑いですね。このバランスは他にないと思います。

——和山さんへのインタビュー(リアルサウンドブック:『女の園の星』和山やまが語る、独自の作風が生まれるまで 「ギャグ漫画はローテンションでもいいと気づいた」)によると、編集者に渡された『魁!!クロマティ高校』を読んで、「ギャグ漫画ってローテンションでもいいんだと気づきました」とコメントされてますね。

ショウ:なるほど! 『魁!!クロマティ高校』は自分たちの世代なんですけど、確かに『女の園の星』に近いテンションがあるかも。でも、めちゃくちゃオリジナルですけどね、このマンガは。

——学校の日常を淡々と描いてるんだけど、先生と生徒の微妙にズレたやりとりだったり、ちょっとだけ変わったキャラがクセになりますね。

ショウ:日常系マンガのほっこりした感じもありつつ、1話に1回くらい爆笑できる場面もあって。低温でジワジワ来るマンガってあるけど、ここまで笑えるのは稀だと思います。ストーリーの展開が見えなくて、意表をつかれる感じもいいですね。1巻の「3時間目」(第3話)は、マンガ家を目指している女の子が出てきて。授業中にマンガを描いてるところを見つけて、星先生が軽く注意するんですけど、その後、その子が職員室に来て、同僚の小林先生と一緒になぜかマンガのストーリーの相談に乗ることになって。そのマンガがめちゃくちゃな内容なんですよ。

——王道の恋愛マンガかと思いきや、すぐに登場人物が死んでしまって(笑)。

ショウ:そうそう(笑)。星先生は「おい!」みたいなツッコミではなくて、「あれ…死んだ…」と無表情で読み進めて、ひとこと「何が描きたいんですか?」って。マンガを読んでるときは同じような絵が続くんだけど、ちょっとずつ表情やアングルが変化していて、とにかく“間(ま)”がいいんですよね。すごくセンスがいいし、こういう“間”の取り方って、マンガ特有だと思うんですよね。言葉で説明するのは難しいけど、映像でこそ生み出せる“間”、ライブで響く“間”みたいなものがあって。マンガ好きが読むと、この上手さにグッと心を掴まれるんじゃないかな。

——絵のタッチも独特ですよね。

ショウ:シリアスなところもあるし、ちょっと劇画タッチで。『鈴木先生』を思い出させるところもあるし、ときどき楳図かずおさんみたいなホラーの雰囲気もあるんですよ。リアルな表情の書き分けも上手いですね。

——奇を衒ってないというか。絵を見ると、「星先生、ヤバイ性癖持っていたりするのかな」という感じもあるけど、まったくそんなことなくて。

ショウ:エロの要素もないし、生徒が先生に恋心を抱くこともなく。奇抜じゃないのに面白くて、フレッシュに読めるマンガって、今あんまりないと思うんですよ。『テラフォーマーズ』『進撃の巨人』あたりから、いかに斬新な初期設定にするか?というアイデア勝負みたいな流れもあって。まだ描かれてない職業を探している感じもありますよね。スタートアップとか、eスポーツとか。『女の園の星』はオーソドックスだし、斬新でもないけど、すごくワクワクできる。やっぱり腕があるんだと思います。

——まだ始まったばかりだし、この後の展開も楽しみです。

ショウ:シリアスな展開があってもよさそうですよね。中村先生みたいなフックのあるキャラクターも出てくるし、予想を裏切るようなストーリーも期待しちゃいますね。和山先生、『カラオケ行こ!』も読んだんですけど、それもすごく面白くて。ずっと成長できる作家だと思いますね。



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