【漫画】親友と別れる夏の日、少女が“手紙”に施した仕掛けに涙ーーサイレント漫画『おくる日に』が美しすぎる
「白」と「黒」がメインだった理由
――『おくる日に』を制作した経緯を教えてください。
あおみ現場:本作はコンテスト用に作成したものでした。文字のない“サイレント漫画”という指定があったため、「お題に相応しいものを」と考えて作りました。
――文字を入れないからこその苦労もかなり多そうですが。
あおみ現場:「絵だけで内容がわかるように」と意識しました。ストーリーはなるべくシンプルで、かつインパクトを出したかったので、起承転結にいつも以上に気をつかいました。また、作画は白黒のコントラストを強くして、印象的な画面にしています。
――“離れ離れになってしまう友達のために手紙を書く少女”というストーリーはどのように思い付いたのですか?
あおみ現場:最初に「“広げた紙が星空に見える”というシーンを描きたい」と思い、そのシーンを一番印象的に見せられるように“別れ”の要素を付け足しました。ページ数も少なく、文字もない中で、相応しい題材を見つけられたと思っています。
――サイレント漫画ですが、登場人物についてこだわった点などは?
あおみ現場:普段はキャラクター性を強く出すことを意識してデザインしています。ただ、本作に限っては世界観や表現方法を見せたかったため、むしろ個性の少ないキャラにしています。どこにでもいるような“普通の”女の子達の、“普通の”日常の中の、本人達にとってだけの“特別な”物語なので。
――「グレー」はあまり使わず、「白」と「黒」を主に使っている作画が印象的でした。
あおみ現場:そこは特にこだわった点でした。1つは、“サイレント”として絵だけで見せる際に、よりインパクトのある画面にするためです。もう1つは、夏の強い日差しを表現して、あの独特な空気感を演出するためでした。
――だから夏らしさが伝わってくる作画だったのですね。
あおみ現場:やはりコントラストを強くしたことが功を奏したと思います。また、ラストシーンの風景がその印象をより強めてくれたと思います。夏は昼間の強い日差しや、夕方の湿度の高い空気感など、時間帯によって様々な表現ができるため、描いていて一番楽しい季節です。
――今後はどのように漫画制作を進めていきたいですか?
あおみ現場:12月24日に青泉社(秋水社)から『だから僕達は幼馴染を辞めた。』3巻が発売されました。ウェブでとても人気のあった作品の最終巻です。表紙にはとある“仕掛け”をしているので、ぜひ全巻揃えて並べていただければと思います。また、年明けにも新連載が2作品ほど始まる予定です。今後とも活動をチェックしてもらえると嬉しいです。