『からくりサーカス』『うしおととら』がバズり中! 藤田和日郎の傑作『双亡亭壊すべし』のネームを見に小学館へ

少年サンデー「絵コンテ・ネーム展」レポート

 ここ数日、なぜか藤田和日郎の漫画『からくりサーカス』と『うしおととら』が、SNS上で話題になっている(2024年10月2日前後、立て続けにXでトレンド入り)。

 あるファンのポストがきっかけになってバズったとも、『からくりサーカス』がKindleのポイントセールの対象になったためともいわれているが、いずれにしても、何年も前に完結した漫画作品が、(たとえば、「新規のアニメ化」というような“旬”なネタが報じられたわけでもなく)唐突に注目を集めるというのは、やはり異例の事態といえるだろう。

 だが、そんななかひとつだけはっきりとしているのは、前述の2作が、時代を越えた普遍的な魅力をもった「名作」であるということだ。つまり、今後も似たような形で、ふとした拍子に、過去の名作が再評価されるというようなことはないとはいえないのである。

『双亡亭壊すべし』のネームが展示中

 さて、そんな藤田和日郎の近年の代表作の1つ『双亡亭壊すべし』のネーム(=映画における絵コンテのようなもの)が、現在、小学館の1階にて展示中だ(入場無料)。



 『双亡亭壊すべし』は、2016年から2021年にかけて「週刊少年サンデー」にて連載された伝奇バトルコミックの傑作である。凧葉務、立木緑朗、凧葉青一、柘植紅という4人のキャラクターが、さまざまな異能者たちと手を組んで、タイトル通り「双亡亭」という名の怪建築物を「壊す」ために奮闘する。

 ちなみに、現在展示されている同作のネームを見たかぎりでは、「絵」の部分はかなりラフなタッチで描かれているようだ。これは逆にいえば、おそらく藤田の頭の中では最初から明確なヴィジョンが浮かんでいるということであり、ネームの段階ではむしろ、コマ割りや、セリフを練ることに力を注いでいたのかもしれない。

 なお、小学館では現在、「週刊少年サンデー」の創刊65 周年を記念して、同誌の人気作家たちによる「絵コンテ・ネーム展」が開かれており、この『双亡亭壊すべし』のネームもその一環として展示されているもの(『双亡亭壊すべし』のネーム展示は10月31日まで/「絵コンテ・ネーム展」は、ひと月ごとに作品を入れ替えて来年1月31日まで開催予定)。

 いずれにせよ、ネームとは、本来、作者の他は担当編集者くらいしか目にすることのない貴重なものである。漫画家志望者や各作品の熱心なファンの方々は、この機会にぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。


■「少年サンデー創刊65周年記念 絵コンテ・ネーム展」
https://www.shogakukan.co.jp/news/476424

 

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