藤田和日郎「おれはそんなに線がキレーじゃねえんだ」 問題化する“偽サイン”に鋭く言及

 近年、価格が高騰している漫画家のサイン色紙。オークションの様子をのぞいてみると、有名作家のサインや原画には海外からも高額入札が相次いでおり、「漫画」の芸術的価値が高まっているのは喜ばしいことだが、同時に贋作の問題が拡大している状況だ。世界中にファンを抱える鳥山明さんの急逝が発表された際には、オークション・フリマ系のサイト&アプリで多くの出品があり、中には素人でも贋作と判断できるものも少なくなかった(参考:鳥山明 訃報報道後、オークションサイトでサイン色紙の贋作が続々出現?)。

 そんななか、『うしおととら』や『からくりサーカス』などのヒット作で知られる藤田和日郎氏が自身のXに「はっはっは、どこだかで売ってるニセおれのサイン、絵柄も字体も覚えたぞー。常習か。 おれはそんなに線がキレーじゃねえんだ。ばあか。」とポスト。販売サイトやアカウント名などの特定は避けつつ、「覚えたぞ」と警告している。普段は見られない挑発的な口調だが、自身の名前を騙るだけでなく、心血を注いできた「絵」まで愚弄するような行為に怒りが込み上げないわけがない。

 漫画家本人への“通報”や“真贋確認の依頼”は大きな負担になる可能性があり、ファンも慎重に考えたいところだが、SNS時代、本人の目にとまるケースは今後も増えていくだろう。実際、アニメ化で大ブレイクを果たし、実写映像化も発表されている『【推しの子】』で作画を担当する人気漫画家・横槍メンゴ氏も3月下旬、自身のXにて、ネットオークションに出品されたサイン色紙について「偽物です!」と反応。20万円で落札済みのサイン色紙について、ファンが贋作の可能性を指摘したポストを引用したもので、不審な点が多かった。他にも複数の出品があり、ファンに警鐘を鳴らしている。

 偽造色紙の販売は違法であり、実際に出品者が詐欺罪で有罪判決を受けた例もある。オークションサイトなどのプラットフォーム側にも何らかの対策が求められるが、事前にすべての出品物に対して真贋を精査することが現実的ではないなかで、基本的には購入する側が慎重に判断する必要がある。高額になるケースが多いこと、また何より作家と作品に対するリスペクトのかけらもない違法行為であることを踏まえると、チャリティーオークションなど出元が確かなケース、公式の販売/プレゼント企画、イベント参加などの正規のルートで手に入れることを考えたいところだ。

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