年収300万円の掃除夫が7億円貯めた方法とは? 伝説の投資家・www9945に聞く、街角ウォッチ投資法の極意
気になるペンネームの由来と投資術
――そういえば、www9945さんのペンネームにはどんな意味があるのか、気になります。
www9945:実は3秒で考えたペンネームなんです(笑)。インターネットのワールドワイドウェブ(World Wide Web)にちなんで“www”、さらに「2ちゃんねる」で“笑い”を意味するネット用語“www”にもかけています。9945は「プレナス」の銘柄コードで、はじめて株価が2倍になった銘柄で思い出深いので、つけました。
――掃除夫を経験したことは、その後の投資人生にどのような影響を与えていますか。
www9945:納豆メーカーでは営業のノルマがありましたが、掃除夫になって精神的なプレッシャーから解放されたのは良かったですね。スタッフ同士の話を聞くのも面白かった。60歳以上の日常清掃のおばさんが、「年金では暮らせない」とか取引先の「利益率が低い」とか言っているのを聞いたりとかね。この頃から、街で見た流行や、仕事周りで起きた事象を株と結びつけて考えると面白いな、と感じ始めていました。
――www9945さんが資産を築いた投資術についても、伺いたいと思います。投資をうまく行うために必要なことは、10%下がったら損切するなど、自身の投資のルールを確立することは大事なように思います。
www9945:それももちろん大事ですし、もっと大事なのは“そのルールを破らないこと”です。自分で課したルールほど、変更するのはありだよねと思ってしまうのです。マイナス10%で損切するルールなのに、15%でもいいよね……とかね。頭のいい人ほど、いい理由をつけてルールを破る傾向があると感じます。繰り返しますが、ルールを守るのが投資の鉄則なのです。
――実際、上がると思って持ち続け、損切のタイミングを逃して塩漬けになるケースは多いですよね。そういった手痛い失敗をした時は、反省や検証をすることも必要でしょうか。
www9945:振り返りは必要かもしれませんが、あまり後悔はしないほうがいいですね。投資は基本的にトライ&エラーのくり返しなんですよ。反省しすぎると、かえって複雑なルールを作ってしまう。当初のルールに則って、自由に売買したほうがいいと思います。
ピンチを乗り越える手法とは
――インターネット時代の到来が、投資に与えた影響は大きかったですよね。
www9945:90年代までは、個人投資家が何を考えているのかほとんどわからなかったですからね。当初は高かったネットの接続料金も、2002~03年頃には月額4000円くらいのプランが誕生し、誰もが自由に考えを書けるようになったのは大きな変化でした。実際、情報量は爆増したんですよ。Yahoo!掲示板に株関連のスレッドを立てる人が増えていて、よく見て回っていました。
――2000年代の2ちゃんねらーの間ではオフ会も盛んでしたよね。www9945さんもオフ会に参加されたことはありますか。
www9945:会いたいと思った人がいるオフ会にはよく行きました。リアルな場で会うと輪が広がり、20人くらいと交流ができるのです。時には自ら幹事にもなりました。幹事になると話が合うと思った人とメアドを交換しやすく、個別に連絡して情報をやり取りしていました。
――その後、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍など、株価が乱降下する激動の時代が続きました。こうした難しい局面でも、www9945さんが着実に資産を増やしていきました。
www9945:2008年9月に起こったリーマンショックは、忘れられない出来事です。既にJPN債権回収株でストップ安を喰らって資産の25%を失っていたのですが、続くリーマンショックで24%を失い、実に資産の49%が吹き飛んだ計算になります。2008年は、本気で投資をやめようと思ったほどでしたね。
――未曽有のピンチを乗り越えることができたのはなぜでしょうか。
www9945:やっぱり、株がめちゃくちゃ好きだったからだと思う。先物や金などいろいろな金融商品があるなかでも、僕にとっては株の現物・信用買いだけが救いでした。紆余曲折があったなかでも、ずっとマーケットの片隅にいられたことが、パフォーマンスを享受できた要因だと思います。
おすすめの“街角ウォッチ投資法”
――本の中でも紹介されている、街角ウォッチ投資法について詳しく伺いたいです。
www9945:街角ウォッチは池袋でやるんですよ。埼玉県の玄関口で、老若男女問わず人が多い。そして、中国人が多いので、起業家精神があって店舗の新陳代謝が激しい。エンタメ要素が強い街なので、歩いているだけでワクワクするし、発見が多い。流行りの情報は「四季報」よりも池袋の方が早いと思います。そんな池袋を歩きながら、街と株を結び付けて投資するのが私独自のやり方です。
――街角ウォッチで発見し、その後に高騰した銘柄は何がありますか。
www9945:「あみやき亭」はその一つです。ハンバーグ定食は900円でアツアツの鉄板で出てきます。さらに、味噌汁、白菜、卵、そぼろが無料で食べ放題です。現代の日本人はコスパを追求していますし、料理の味もいいので、この会社は伸びるんじゃないかと思いました。投資家に知られていないタイミングで買い始めたときは4400円台だった株価が、その後、7000円台になりました。
――素晴らしいですね。実際に料理を食べ、サービスを利用することで、説得力が得られるのではないかと感じました。そういえば、www9945さんは大きな資産を築いたわけですが、贅沢をすることはあるのでしょうか。
www9945:12~2月以外は旅行をして過ごしています。国内の離島や岬が好きなので、よく行きますね。岩や崖などの風景をスマホで撮って、あとで見返すだけでも印象に残ります。住民から話しかけられることもあるので、言葉を交わすと、それもまた印象深い。島を電動自転車で一周するなど肉体的にも印象深い旅行が好きで、逆に、おいしいものを食べに行ったり、温泉に行ったりとかは積極的にはしないですね。
――投資家になって良かったと思うことはありますか。
www9945:先日に伊豆大島に行きましたが、初日が雨だったんです。会社員なら次の日も仕事があるかもしれませんが、専業投資家だったら1日延ばして、晴れの日にゆっくり観光する柔軟なスケジュールを組める。平日に出かければホテルも空いているし、いいことだらけですよ。
――この本を手にして投資に興味を持った方へのメッセージなど。
www9945:株投資は100人いれば100通りのやり方が存在する、完全な個人競技です。興味をもった方なら、僕の本は、長年投資をやっている個人投資家がどんな感じで取り組んできたのか、やばいやり方や、血で染まったやり方などを知れるいい機会だと思います。この本を見て刺さったテクニックを取り入れて、ぜひ自分なりの投資術を作り、頑張ってほしいと思います。
■書籍情報
『年収300万円、掃除夫だった僕が7億円貯めた方法』
著者:www9945(個人投資家)
価格:1650円
発売日:2024年6月14日
出版社:宝島社