「新NISAで1億円は実績に基づいた現実的な数字」 10万部突破『新NISA完全攻略』著者・山口貴大インタビュー

山口貴大「新NISAで1億円は現実的な数字」
『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)

 今年から開始した新NISA(ニーサ/少額投資非課税制度)が注目を集めているが、どのように活用したらいいのだろう。そのポイントが掴めていない投資初心者にぜひ推薦したいのが、山口貴大氏(ライオン兄さん)の書籍『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)だ。

 本書は投資初心者に圧倒的支持を受け、発売2か月半で10万部もの部数を突破するなど「今最も勢いのある新NISA本」だと言っていい。そのコンセプトは「紹介本」であり「攻略本」。基本的な事項を金融リテラシーのない人向けにやさしく解説しながら、新NISAによって資産を最大限に増やす方法を具体的に伝授している。20・30代はまず本書を手に取ることから始めてみるのもよさそうだ。

 著者の山口貴大氏は金融・起業のマネースクール「Financial Free College」代表であり、YouTubeやTikTokで「ライオン兄さん」名義で動画発信している。なぜ、お金にまつわる情報発信をしているのか。初心者は新NISAをどのように攻略したらいいのか。山口氏に話を聞いた。(編集部)

お金に対するコンプレックスが強かった

ーーなぜ「ライオン」兄さんなのですか?

山口:私の趣味はサーフィンなんですが、サーファーは自然が相手なのでリスクがあるんです。サメに食べられたり、波に飲まれてしまうかもしれない。海で事故にあうと、その遺体は水で膨れてしまって、誰だかわからなくなります。だからサーファーは、自分だとわかるようにタトゥーを入れます。なので私も、ワンポイントでライオンのタトゥーを入れています。元々、僕はレゲエが好きなんですが、ライオンは神様のような存在なんですよ。そうしたこともあって、ライオンの被り物をしたキャラクターで、SNS発信をしています。

ーー山口さんは子どもの頃はお金に対してどのような価値観を持っていましたか?

山口:実は幼少期の頃にお金に対するコンプレックスを植え付けられたのが、今の活動に大きな影響を与えています。成人してからお金を学ぶことにのめり込みましたが、それはお金持ちになりたいからというより、子どもの頃の原体験としてお金に対する恐怖があったからなんです。

 というのも、私の父親も祖父も詐欺にあいました。祖父は知人の保証人になって、借金を背負わされて、逃げられてしまった。父親は食品関係の大きな会社に勤めていましたが、ある大きな額の取引をしていて、それが億を超えたときに相手に飛ばれて、会社を倒産させてしまい、その業界を追放されることになりました。

 だから私が小学校低学年の頃、生活が脅かされるかもしれない恐怖がありました。自分たちが住んでいる家すら追い出されるかもしれなかったのです。うちは三人兄弟なのですが、子どもがたくさんいると大変なんだということも痛感しました。極貧とまでは言わないですが、決して裕福ではなかったですね。家族みんなで内職したりしていました。結局、そんな不遇の時代を経て、父が40代半ばでいい会社に巡り合って、昇進して役員となります。父が50代に入ってからやっと家庭に平穏が訪れました。

 だからお金に対するコンプレックスが強かったのですが、うちの妹が26歳のときに不動産投資の講座に入って勉強し始めたんです。するとその2年後に、美容会社の社長に大抜擢されました。妹は金融リテラシーが上がったことによって、ビジネスで成功することができた。私もそれに感化されて、貪るようにお金のことを学ぶようになりました。本を読んだり、セミナーや講座に通ったりしました。ロバート・キヨサキ(ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』で知られる投資家)が考案したキャッシュゲームを、兄妹でやったりしていましたね。

すべての時間を金融の勉強に費やした

ーー当時、30代前半の山口さんは会社員として働きながら、夜や週末などの時間で学ばれていたと。

山口:そうですね。最初の3年は自分のすべての時間を使って学びました。僕はB型で、何かにハマるととことん突き詰めるタイプなんです。でも最初は全然わからなかったんですよ。日経新聞を読んでも、経済ニュースを見ても、すべてが点としてしか認識できませんでした。

 高校卒業後に情報処理の専門学校に通っていたのですが、そこで先生に言われた言葉を思い出しました。最初は情報処理の用語が難しくて、よくわからなかったんですが、先生は「宇宙人の言葉だと思っておきなさい」と言うんです。理解しなくてもいいから、とりあえず聞いておけと。それを続けていたら、1、2年したらいつの間にかわかるようになっていると。すると確かに、あるところで点と点が線でつながり、わかるようになったんですよね。

 金融もそれと同じじゃないかと仮説を立てました。わからなくてもいいから日経新聞や経済ニュースをチェックしてみる。とにかくすべての時間を金融の勉強に費やしました。すると、2、3年経ったときに、今まで点だったものが全部線で繋がって、一通りのことが理解できる状態になったんです。

ーーそして今ではご自身の学校やSNSで教える立場となっていますね。

山口:当時、2019年でちょうど「老後2000万円問題」の話が出ていました。金融庁が老後資金として、年金の他に約2000万円が必要だと発表しました。だから多くの人が不安を抱えていた。とはいえ、当時はSNSやブログでお金のことを発信しても、いいねやコメントをしづらいような雰囲気もありました。お金のことを語るのはいやらしいという風潮ですね。でも、僕は友達に会うたびに、お金の相談をされるんです。そこで丁寧に解説してあげると、すごく喜ばれました。その経験から、いろんな人に教えてあげたほうがいいんじゃないか、と思うようになったんです。

 僕が3年間、金融にどっぷりハマっていた時期、実際にハイリスク・ハイリターンの投資を含めて、いろいろな運用をしました。そこで気づいたのは、結局、経済は米国が中心であって、米国株が強いということでした。もちろん、今の日本株も強い。でも過去40年ほどを見てみると、日経平均株価はバブル期の最高値をまだ更新していませんが、米国株は指数で29倍近く上昇しているんです。米国のインデックス投資がものすごく再現性が高いことに気づいて、そのことをぜひ伝えていきたいと思いました。

 日本人は投資は苦手ですが、貯金は得意なんですよ。このインデックスの積立投資は、僕の中では半分は貯金のようなもの。例えば、月に6万円を貯金している人だったら、3万円現金・3万円インデックスとしてみたらいいんです。貯金が得意な日本人は成果が出るし、絶対に流行るだろうと確信しました。

 それで2019年にYouTubeを始めて、20年には学校「Financial Free College」を立ち上げました。僕自身、金融の講座で学んだ時に、うまくいく人といかない人の二極化があると感じていましたが、自分がお金の勉強で不都合に感じたことを生かして、全部サービスで伝えていこうと考えました。

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