『プリパラ』10周年、普遍のキャラはどうつくられた? アートデザイナー・金谷有希子に聞く、創作の裏話

■10周年を迎えた『プリパラ』

『プリパラ』10周年記念のロゴ。前面に押し出されているリボンが、作品の重要なイメージになっている。

  女の子向けのゲーム・アニメとして高い人気を誇った『プリパラ』が、2024年に10周年を迎えた。2014年に新たな『プリティーシリーズ』としてスタートした本作は大ヒットし、今でも新作グッズが発売され、様々なイベントが開催されるほど支持されている。また、今年7月には10周年を迎え、8月からは10周年を記念した展示会も開催される予定だ。

  ゲームの「み~んなトモダチ!! み~んなアイドル!!」というコンセプトが共感を呼び、プリチケというチケットを通じて友情を深め合う世界観も秀逸であった。そして、個性豊かなキャラクターたちのデザインも高い人気を誇る要因のひとつではないだろうか。

  主人公の真中らぁらを筆頭に、世代を超えて愛されるキャラクターをデザインしたのが、ゲーム会社「シンソフィア」に所属するアートデザイナーの金谷有希子である。10周年という節目を迎えた今だからこそ話せるキャラクターデザインのこだわりや見どころ、創作上の裏話などを聞いた。

『プリパラ&アイドルタイムプリパラ設定資料集(上)』(小学館/刊)。金谷のインタビューも収録されている。

■人気の出る作品を作りたい!

――『プリパラ』10周年おめでとうございます。Xでは今も関連ワードがトレンド入りすることが多く、ファンに愛されているコンテンツだとわかります。金谷さんはこれほどの反響は予想していましたか。

金谷:『プリパラ』は企画が立ち上がった頃からものすごくやる気で、絶対に人気のあるものを作りたいという強い意志で取り組んでいました。なので、願ったものが叶ったな、という感じです(笑)。

――ヒットした要因はどこにあったと考えていますか。

金谷:関わったみなさんが、それぞれの場所で素晴らしい仕事をしたおかげだと思います。一人一人が、絶対にヒットさせるんだと、同じ方向を向いていましたからね。アニメなどのメディアミックス展開がどんどん実現しましたし、玩具やグッズ展開も勢いがあり、フィギュアにもなりましたね。『プリパラ』は中心となる一社が推し進めていくというより、いろいろな方が盛り上げてくださったコンテンツだと思います。

――メディアミックスのなかでも、アニメはヒットしましたよね。

金谷:森脇真琴監督がキャラクターを深く愛してくださったので、ゲームとアニメの連動が上手くいったと思うんですよ。森脇監督はモノづくりに対する圧倒的なパワフルさがありましたし、ヒットしたのも頷けます。

■初の大仕事はチャンスだと思った

――金谷さんは、それまでにゲームのキャラデザを手掛けたことはあったのでしょうか。

金谷:入社後、『プリティーリズム』のゲームで絵を描いて、他の方にデザインを起こしてもらうことはありました。3DSで発売された『プリティーリズム・マイ☆デコレインボーウエディング』で“りんね”というキャラをデザインしたら、『プリティーリズム・レインボーライブ』のアニメに登場したんですよ。菱田正和監督が私の絵を見て褒めてくれていたと、当社のプロデューサーが言っていたので、絵をもっと頑張ろうと自信がつきました。

――そんな金谷さんが、『プリパラ』のキャラデザに抜擢されたきっかけは。

金谷:『プリパラ』の立ち上げの時に社員が案を出して、私が描いたらぁらのデザインが採用されたので、そのまま私が他のキャラも担当する流れになったんです。

――いきなり大きな仕事を任されて、責任重大だったのではありませんか。

金谷:当初はみなさんが思うほど、ビッグタイトル扱いではなかったんですよ。社内で開発に関わる人員もそこまで多くありませんでしたし。私は責任を感じるというよりは、当時、やる気に満ち溢れていましたから(笑)、これはチャンスだと思って食らいついたというところです。

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