男の子、新成人が初登場したプリキュアの革新的試みの理由 女児向け、美少女系作品の現状と余波を考察


 女児向けアニメの金字塔『プリキュア』シリーズの新作『ひろがるスカイ!プリキュア』の放送が2月5日に迫った。同作はシリーズ20作目の節目となる作品であり、合わせて20周年というメモリアルイヤーを迎えることになる。

 そんな『ひろがるスカイ!プリキュア』に、“男の子のプリキュア”が初めてメインキャラクターとして登場することが2月2日、発表された。注目の男の子プリキュアの“キュアウィング”は12歳で、声は村瀬歩が務める。

 『プリキュア』シリーズは、キャラクターの細かな設定や変身アイテムなどに常に流行を取り入れ、時代の変化を投影してきた。今回のキャラクターもまさに多様性社会を反映しているといえる。こうした動きは近年の子ども向け作品で顕著にみられる。2022年から放送されているスーパー戦隊シリーズの『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のキジブラザーは、史上初のピンク色のスーツをまとった男性戦士として登場している。

 キュアウィングは、Twitter上のアニメファンの間では好意的に受け止められているようだ。アニメファンの間では兼ねてより人気の高い“男の娘”キャラクターは存在するが、今度は同様のキャラが、女児向けアニメや少女漫画などにも相次いで登場するかもしれない。また、『ラブライブ!』シリーズなどの美少女アニメに与える影響も大きいはずで、何らかの変化がもたらされるか、注目に値する。

 なお、近年の女児向けアニメ・ゲームでいえば、『プリパラ』にレオナ・ウェストという男の子キャラクターが登場する。誰でもアイドルになれるプリパラは、原則、女の子のもとにプリチケが届き、入場が可能になるシステムである。ところが、レオナのもとにはプリチケが届いたため、姉のドロシー・ウェストと一緒に普通に出入りしていた。

 作中では、レオナが男の子と知って衝撃を受ける場面も描写されているものの、以後は性別に関係なくアイドル活動を行っている。こうした『プリパラ』の事例もあるため、『プリキュア』の男の子キャラも女児には違和感なく受け入れられていくことだろう。

 話を『プリキュア』に戻すが、『ひろがるスカイ!プリキュア』のメインキャラクターには、これまた史上初の「新成人プリキュア」の“キュアバタフライ”の登場も決定した。スーパー戦隊シリーズなども例に漏れず、長期シリーズはこうした節目の機会に革新的な試みがなされることが多い。これからもターゲットの女児のみならず、アニメファンをも驚かせる内容が続々登場しそうだ。放送日が今から待ち遠しい。

©ABC-A・東映アニメーション

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