秋葉原ルポ、オタクがいなくなっているのはなぜ? アニメ・漫画の聖地で起きている変化の内容

■秋葉原からオタクが消えている?

photo:jezael melgoza(unsplash)

 秋葉原といえば日本屈指の電気街であり、「オタクの町」「萌える趣都」などと呼ばれる。実際にアニメグッズを扱うショップなどが多く建ち並び、その存在感は健在といえる。しかし、最近、様々なニュースで「オタクの秋葉原離れ」が指摘されている。少なくとも2000年代は、オタクは秋葉原に行くというイメージだったのだが、いったい何があったのだろうか。

  その理由の一つが、ネット通販などの進化で、秋葉原に行かなくてもほとんどのモノが手に入るようになったことが挙げられよう。また、2000年代初頭まで秋葉原の文化を支えていた美少女ゲームが衰退し、スマホゲームやソシャゲが隆盛したことも大きい。2000年代には美少女ゲームの発売日になると、開店前から列ができていたものだが、そうした光景はもはや過去のものになってしまった。

  また、「とらのあな」などの大型の同人誌ショップが秋葉原から撤退したことも影響があるだろう。中央通りに面していた「とらのあな」のビルは秋葉原のシンボルであり、コミケなどの同人誌即売会の帰りにオタクが立ち寄る定番スポットであったが、2022年に最後の一店が閉店し、ついに創業の地から消滅してしまった。この出来事を、2000年代に隆盛したオタク文化が終焉した象徴と語っている人もいた。

  一方で、アニメの聖地巡礼は盛んであり、秋葉原よりもピンポイントで好きな作品の舞台を訪問するオタクも増えている。『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地の静岡県沼津市などには、休日になると痛車がやってくるし、痛バッグを手にしたラブライバーの姿が目に付く。また、声優やアイドルのコンサートなども盛んになり、秋葉原以外にもオタクが楽しめる場所が増えたことも大きいだろう。

  筆者は休日になると秋葉原をよく訪れるのであるが、今年に入って目に付くのは外国人の姿だ。コロナ騒動が終息し、激しい円安となったためか、とにかくどこにいっても外国人、外国人、外国人なのである。外国人に日本の漫画やアニメの人気が高いことの裏付けと肯定的に捉えることもできるが、ここまで極端にインバウンドの町になってしまうと、買い物がしにくいと感じる日本人は少なくないのではないか。

  また、コンセプトカフェの客引きも多すぎる。筆者は陰キャなので、客引きに声をかけられるとなかなかしんどいものがある。古参のメイドカフェは昔ながらの雰囲気を残しているのだが、昨今のコンカフェの客引きを見ると、明らかにオタクではない。アニメの話なんかしてもわかんなそうだよなあ……という雰囲気の人が少なくない。

森川嘉一郎『趣都の誕生萌える都市アキハバラ』(幻冬舎)

 

  もっとも、建築学者である森川嘉一郎の『趣都の誕生萌える都市アキハバラ』を読むとわかるように、秋葉原は常に変化し続けている町である。電気街からパソコンの町へ、そしてアニメオタクの町へと変わり、今はインバウンドの町になっている。オタクが秋葉原離れを起こすほど町の雰囲気が変わりつつあるのも、秋葉原らしい現象といえるのかもしれない。

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