地方書店はどうなる? 今後消滅する全国の自治体約40%の試算 心配なのはインフラと小売業の存続
2024年3月21日に総務省統計局の人口推計が公表され、日本の総人口は1億2435万2000人であり、前年同月に比べて59万5000人が減少していると示された(2023年10月1日現在の確定値)。なお、人口全体に占める日本人は83万7000人の減少で、対して外国人は24万3000の増加となっている。
また、15歳未満の人口は1417万3000人で、前年同月に比べ32万9000人が減少している。これに対し、75歳以上の人口は2007万8000人で、前年同月に比べ71万3000人の増加となった。改めて深刻な人口減少と少子高齢化の実態が浮き彫りになった。また、人口が増加しているのは47都道府県中、東京都のみ。東京一極集中の傾向がますます強まっていることがわかる。
地方は深刻な人口減少に直面している。4月19日の共同通信などの報道によると、民間組織の人口戦略会議がまとめた報告書で、日本の全体の40%超の744自治体が“消滅可能性”にあると分析されているという。消滅可能性に該当するのは、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が半数以下となる自治体を指す。
こうした実情から、地方では既に小売業が成り立たなくなり、深刻な買い物難民が急激に発生している。特に深刻な業種の一つが書店である。出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、書店が一つもない“書店ゼロ”の市区町村は全国1741市区町村のうち456市町村に及び、約26・2%にも達する。これは2022年9月の調査データなので、現在はさらに拡大している可能性がある。
書店以外には、コロナ騒動の過剰な自粛ムードによってダメージを受けた飲食店のほか、八百屋や青果店などの個人経営の商店なども消滅している。とにかく、地方の農村などは人口が少なくなりすぎて、商売が成り立たないことが多い。地元の住民が共同で出資して、店を開いても、あっけなく閉店する事例も見られる。
書店や小売店に対し、いわゆる2024年問題や労働者不足や燃料の高騰などによって、商品を扱う問屋(書店の場合は取次)の配送が困難になる問題も指摘されている。書店の場合は、発売日が1~2日遅れる可能性があるとも言われる。現在、地方で当たり前に手に入っていたものが、10年先に手に入るかどうか未知数な状況にある。
医療の問題も深刻だ。家の近くに医療機関がない、病院や診療所まで車で1時間以上かかる、といった例も当たり前に出ている。人口減少による税収難によって、行政サービスが行き届かなくなるケースも出てくるだろう。人口減少の問題を意識し、いかに対策を行っていくか。いよいよ待ったなしの状況にあるといえる。