伝記は紙と相性がいい? 電子好調の中でも自叙伝本が堅調、 SNSとの意外な親和性と名刺代わりの需要
伝記は紙と相性がいい
電子書籍の需要が紙の本を逆転し、若い世代には本はタブレット上で読むものという意識が定着しつつあるが、紙の本の需要が一定数残ると考えられる分野も存在する。それは鉄道やコレクション系など趣味性の高い分野の豪華本であり、装丁や紙の手触りなどにまでこだわった本である。また、“自伝”なども残り続ける本の有力候補といわれている。
電子書籍では後々読めなくなる可能性が高いが、紙の本なら数百年後も残すことが可能となる。そしていくらでも装丁を豪華にして所有欲を満たす仕様にできるし、何より紙の記録性の高さとも相性がいい。
また、スマホで撮影した写真をバックアップをとっていなかったり、ネット上にブログを綴っていたらサイトのサービス終了とともに消えていたりした経験をもつ人は多いだろう。一昔前であればフィルムで撮影した写真をアルバムに残しておく文化があったが、現代人は写真をスマホで撮ってそのままにしてしまい、何かの拍子で失っているケースが多い。
現代人は自身の記録を残しているようで、案外、残していなかったりするのだ。電子は物事を記録する手段として非常に弱く、紙にかなわない。そんな過去の記録を失った人が、自伝を書くことで思い出をもう一度よみがえらせたり、自身の半生に向き合う機会になる。紙の伝記は今後、大きなビジネスに発展しそうなジャンルである。