日曜劇場『下剋上球児』のキーマン役、兵頭功海が語る原案書籍の魅力「モチベーションを上げてくれたら」

『下剋上球児』兵頭功海が語る原案本の魅力

投手を演じるリアル

原案著書『下剋上球児』のエピソードはドラマにも反映されていると語る兵頭氏。

――そして、ドラマで重要な根室知廣役に決まった?

兵頭:書籍版の『下剋上球児』も読みました。登場人物もストーリーもドラマでは変わってるんですが、原案版のエピソードって、結構、ドラマにも生きてるんですよね。根室が迷子になったり、貧乏だったりとか。ただ、根室という役はゴールがわかっていました。

――それはどういう部分で?

兵頭:キャラクターがどうなっていくのかがある程度決まっていたんです。根室の場合、いずれ投手になるということはわかっていました。でも、そこで役として難しいところがあった。全10話の中で、1年生を演じる回が5話あったんです。

――半分は1年生ですね。

兵頭:撮影期間は8~12月でしたが、その短期間で1年生に見える身体と3年生に見える身体を準備することってできないんです。どちらかに合わせるしかない。僕はわざと1年生の細い方に合わせることにしました。

――最初から身体ができていたら、下剋上に見えないですもんね。

兵頭:最初はサイドスロー(横手投げ)でヒョロヒョロ投げるんですが、後半、オーバースロー(上投げ)になることもわかってました。細い身体ではあるんですが、出力がないと説得力が生まれない。チューブ(細いゴム製のトレーニング器具)を引っぱってインナーマッスル(関節の固定などを担う内側の筋肉)を鍛えてました。

――だんだんと、根室のフォームが力強くなりました。

兵頭:筋肉をデカくするなら、したんですけどね。スクワットをガンガンやってもいい。でも、根室はそういう役ではないですから。

――なんだか、アスリートのインタビューしている気分になりますよ。

兵頭:僕の中にある役者と野球という、いいところを出せる、とてつもなくいい役をいただけました。高校生まで野球をやって、その後の役者歴が5年。根室役には培ったものを全部ぶつけることができました。

――ちゃんと、高校生のいいピッチャーに見えましたよ。

兵頭:でも、塚原さんの演出の中、培ったものをぶっ壊した部分もあるんです。

原案の『下剋上球児』はノンフィクションなので、演じた根室のモデルもわかり役作りにおいて役に立った話す。

――それは?

兵頭:たくさんあるんですが、たとえば、役者として“僕”という存在は見えない方がいいと思っていたところがある。泣く場面で、親やペットを思うような方法論もあるんですが、僕はしない方でした。自分の感情を入れない。でも、塚原さんは「あなたがこの役をやる意味がある」とおっしゃるんです。「兵頭君の気持ちがあっていい。その通りに投げて」と。

――高校野球のマウンドは、誰でも経験できる場所ではないですから。

兵頭:それまで、考えたこともなかった。僕でしか使えない感情があったんです。だから、最終回の試合、根室は5回ツーアウトでマウンドを降りるとき、泣きます。台本は「やりきった笑顔」でした。でも、そうならなかった。あれは、僕の涙ですね。

――兵頭さんが演じた根室だからこそのリアリティでしょうね。

兵頭:周囲のみなさんのおかげだと思います。毎回、エキストラの方がたくさん来てくれて、ブラスバンドまで来てくれました。撮影に行くというより、試合に行っていた感覚があるんです。そんな場所や空気を用意してくれたチームのおかげで生まれたものです。

――試合の撮影って、三重まで行ってたんです?

兵頭:行ってましたよ。リアルに近いから、人間だから、場があることで生まれる感情ってあるんです。

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