なまけ者たちの共感集めてベストセラーに! とにかく怠惰な韓国エッセイ『着ない服を捨てたら「すぐやる人」になれた』に注目
なまけぐせを見つめることは、人生に自暴自棄にならない術
冒頭で“この手の本“と言いたくなってしまう本の多くは、作者が困難を早々に脱出して次のステージに行ってしまった、というある種の「置いていかれた感」を感じてしまうからかもしれない。でも、この本は、「20年以上わたしを支配してきたなまけぐせから、完全には抜け出せませんでした」と、今でもその試行錯誤を繰り返していることを告白している。
だから、安心できるのかもしれない。自分だけが立ち止まっているわけではない、ということに。行ったり来たりしながら、またやるべきことを小さく分解して、できることからやればいいのだ、と絶望せずにいられる。オンライン書店のレビューの中には「この本を買って読むまでに数ヶ月かかり、レビューを残すまでにさらに数ヶ月かかった」なんて言葉もあって、思わず頬が緩んでしまった。
人生はすべて思い通りにはいかないもの。勤勉タイプの人にだって、何かしらの理由でうまくいかないことだってあるくらいなのだから。もともと怠惰な性質を持っている自分は、つまずく日があって当然だ。だから、うまくいかないときの自分のことを、どうフォローしていくことができるか。それこそが、幸せに生きていくために大切な力にも思えてくる。
その力を強くしていくために必要なのは、立派な意識改革や盛大な環境の変化などではなく、まずは「着ない服を捨てる」くらいの簡単なことから始められるのだということ。そして、この作者も、この本を手に取った多くの人も、現在進行系でその「なまけぐせ」とうまく付き合っているのだと思うと、心強い。まずは、あなたも「この本を開いてみる」というタスクから始めてみてはいかがだろうか。
■書籍情報
『着ない服を捨てたら「すぐやる人」になれたー意識低めの怠惰脱出法ー』
発売日:2023年6月20日
定価:本体1500円(税込)
判型:四六判・192ページ
発行元:株式会社飛鳥新社