『呪術廻戦』虎杖悠仁はなぜ人に好かれる?「人たらし」を極めた新時代の主人公像

『呪術廻戦』渋谷の街で“特級”のイベント開催

 『呪術廻戦』の世界を必死で生き抜く主人公として、多くの人に愛されている虎杖悠仁。作中でも他のキャラクターに好感を抱かれる機会が異様なほどに多く、さまざまな逸話を残してきた。虎杖はなぜ、それほどまでに人望を集められるのだろうか。

  その人たらしっぷりは、物語の序盤から徹底して描かれていた。まずは初対面の伏黒恵に善人であることを確信させ、「死なせたくありません」と言わしめた後、呪術高専入学時には頑固な夜蛾学長の心を動かし「合格」の言葉を受け取っている。その後も、虎杖の言動によって心の壁を溶かされたキャラクターは数知れない。

  極めつけは、現在放送中のアニメ『呪術廻戦』2期でも描かれた小沢優子のエピソードだ。彼女は中学時代の同級生として、虎杖にひそかな恋心を抱いていた人物で、卒業後に偶然再会を果たすことになるのだった。

  中学生の頃、小沢は同級生から容姿を揶揄されており、男性に対する嫌悪感を持っていたのだが、虎杖だけは例外だった。たとえ本人がいない場でも、容姿を一切からかうことがなかったのだ。それどころか、食事マナーや書き文字の美しさといった本人も気づいていない魅力を見抜いてくれたという。

  なお、小沢は卒業後にすっかり体型が変わり、中学時代とは別人のようになっていたのだが、虎杖は一目で同一人物だと気づいていた。彼女を外見だけで判断していなかったことを示す、何よりの証拠だろう。

  この一件は、周囲の意見に流されない心の美しさを描いたエピソードだ。しかしそれだけではなく、とくに接点もないクラスメイトのちょっとした個性を気にかけるという虎杖らしい一面が表現されているとも言える。少年マンガの主人公らしからぬ、この繊細な心のあり方こそが、虎杖の特性なのではないだろうか。

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