『ゴールデンカムイ』実写化は難しい? 原作ファンが不安視する「チタタプ」や「ヒグマ戦」の再現

“不死身の杉元”が1/7スケールに

 『ONE PIECE』や『キングダム』など、マンガを原作とした実写化企画が続々成功を収めている。その流れのなか、2024年1月19日には人気マンガ『ゴールデンカムイ』が実写化される予定だが、同作はどれほどのヒット作になるだろうか。

  期待が膨らむ一方、原作ファンの視点からすると、「実写化が難しいのではないか」と感じてしまう要素も少なくない。制作スタッフの手腕が問われる作品となることは間違いないだろう。

  そもそも『ゴールデンカムイ』は、北海道を舞台とする金塊争奪戦の模様を描いた作品。登場人物には軍人とアイヌ民族の人々、死刑囚たちが入り乱れるのだが、とくにアイヌ民族に関してはその伝統文化に踏み込んだ描写が行われている。

  作者・野田サトルがアイヌ民族を描く上でこだわっているのが、食文化のリアリズムだ。主人公・杉元佐一の相棒となるアイヌの少女・アシリパ(※正式表記は「リ」が小文字)は、旅の道中で野生動物の狩猟を行い、杉元に初体験のアイヌ料理を提供していく。

  そのなかでもっとも有名なものといえば、「チタタプ」が挙げられるだろう。これは新鮮な獲物の肉を刃物で細かく刻んだ、一種の“たたき肉”料理だ。

  たとえば杉元とアシリパが出会って間もない頃、罠で捕らえたリスをチタタプにするエピソードがあった。ここではリスの皮をはぎ、内臓を取り出すところがリアルに描写されており、アイヌの食文化を正面から描き出そうとする意気込みを感じさせる。

  アシリパが自然の恵みに感謝しつつ、動物の全身を余すことなく食材にすることも印象的だ。生き物の命を決して無駄にしない姿勢から、リスの脳みそやウサギの目玉、エゾシカの気管といった珍味も食されている。

  ときにその調理シーンは、現代の都会で生きる人にとってショッキングなものに映るだろう。第63話では、扉絵で描かれたかわいらしいアザラシを、アシリパが棒きれで仕留め、解体して鍋にするエピソードがあった。コミカルでありながら作中屈指の名シーンだ。

  しかしこうした食文化の描写をそのまま実写化するのは、難しいかもしれない。マンガなら多少衝撃的なシーンでも受け入れられるだろうが、実写にするとインパクトが強くなりすぎるからだ。もちろん『ゴールデンカムイ』の見どころの1つではあるので、何らかの形で再現してくれることに期待したい。

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