【漫画試し読み】祖父から“中二病”を受け継いだ高校生は異世界をどう生き抜く? 『ワールドオーダー』が斬新すぎる

『ワールドオーダー』を試し読み

 痛々しくもありながら、何歳になってもなぜか心惹かれてしまう「中二病」的なイマジネーション。祖父からそんな精神を受け継いだ高校生が異世界に転移したら、スタイリッシュでちょっと影がある、理想の主人公として生きていくことはできるだろうか? 「小説家になろう」で厚い支持を受けた小説で、現在コミックサイト「ヒーローコミックス」で漫画版が連載中の『ワールドオーダー』は老若男女問わず、「中二」の心を失っていない全ての人に読んでもらいたい作品だ。

中二病の祖父に育てられたことを除けば至って普通の高校生、城戸栄治。祖父の死後、唐突に現れた謎の光に吸い込まれ、目を開けるとそこは有り得ないほど巨大な生物が跋扈している異世界だった。 栄治は熊のような男、ロキとその弟子の美少女、アイリと出会い、名をキッドと改め、アイリと共に剣と魔法の蔓延るこの世界でハンターとして生きることを決める。 試験に合格し、無事ハンターになることが出来たキッドとアイリ。図らずしも手に入れた強大な力で次々と襲いくる強大な魔物達を易々と薙倒していく。 アイリや紅蓮の炎姫フィーリア、幼い天才魔導師マギサたちに翻弄されながら、キッドは異世界で激動の人生を歩んで行く。

 リアルサウンドブックでは、『ワールドオーダー』の原作者・河和時久先生と、コミカライズを手がけるさとうねこ先生を直撃。本作が生まれた経緯や、物語に込めた思いを聞いた。

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『ワールドオーダー』河和時久先生&さとうねこ先生インタビュー

ーー『ワールドオーダー』はチート能力の無双感、栄二(キッド)の茶目っけと強者としての振る舞いのギャップ、“中二病”をエンタメにしっかり昇華していて、ミーム的なネタも豊富……と、全体のコンセプトからディティールに至るまで、読者を楽しませる要素に満ちています。この物語がどう生まれたのか、着想のきっかけも含めて聞かせてください。

河和時久(以下、河和):私は元々トレーディングカードのようにカードを集めてデッキを組むようなゲームが好きでよくプレイしていたのですが、それと同時に小説を読むのも好きでした。そういう題材の小説ってないのかな?と探したのですが見つからず、諦めていたのですがある時、ネット掲示板で誰かが小説家になろうというサイトの小説を見て、「これなら俺でも書ける」という書き込みがあり、別の誰かが「じゃあ書いてみろよ」と返していたのを見て、あっ自分で小説を書いてみれば良いのか、と思ったのが小説を書くきっかけでした。

 物語として最初に考えていたのはカードが生活のメインになっている世界のお話でした。書き始めた当時はトレーディングカードが流行っており、それが特殊な力としてごく普通の日常で使われる世界を書いたらどうなるか?というのが最初のコンセプトでした。今は結構そういうお話も多いのですが、当時はまだそういうお話は見かけなくて、結局自分で書いてみることにしました。

 そういう世界にした場合になんでそんな世界になったのか?という理由が必要になり、その説明を考えている内にだったらその前提条件の話から書いてみようとして生まれたのが今作になります。だから今作は本来書くはずだった物語の過去話だったりします。

ーーコミカライズにあたり、さとう先生はそんな経緯で生まれた『ワールドオーダー』という物語をどう捉えましたか。

さとうねこ(以下、さとう):最初にコミカライズのお話をいただいたときに、タイトルの「ワールドオーダー」に「世界に注文するって主人公は異世界でどんな望む世界をつくっていくんだろう」というワクワク感があり、カードでチート能力を発揮するのも異世界系で見たことがなかったので面白いなと思いました。そして、女の子を可愛く描くのが至上命題の作品だなと受け取りました。

ーー少し抜けた部分もある“普通”な印象も残しながら、強者としての余裕を感じさせる立ち回りも魅力の栄二がイメージ通りで、純粋で愛らしく、キラキラとした魅力のあるアイリをはじめとする異世界のキャラクターたちも生き生きと描かれています。躍動感のあるバトルシーンも含め、作画についてはどんなことを意識されていますか。

さとう:お話は読みやすく描ければ面白いことが確定しているので、第一に女の子が可愛く見えるように、次に演出も含めカッコいいシーンがカッコよくきまるように心がけています。また、異世界ということで、地形や建築物、小物等そこに人が生活している雰囲気がある背景をつくるように気を付けています。

ーー河和先生は、そんなさとう先生の作画をどう受け取っていますか。

河和:コミックとして描いてもらう場合、まず絶対条件として女の子が可愛いことを挙げていました。最初にさとう先生の描いたアイリのサンプル画を見た時に即「採用」と言ってしまうほどにはイメージ通りでした。連載を続けている内にどんどんキャラに命が宿っていっている感じがして、可愛らしさも日々増している気がします。

ーー栄二=キッドは共感できる部分を残しながら、きちんとチート能力を活用して暴れてくれる、痛快な主人公だと思います。お二人は栄二をどんなキャラクターだと捉えていますか?

河和:譲れない芯のようなものが心にあるけど、母親の愛情を知らないため、愛されるということがよくわからない大人のような少年。

さとう:優しく強く魅力的は前提として、とても慎重派だと思います。自分や身のまわりの人の安全を考慮した情報の扱いが際立ってるのも面白いですし、中身は女子大好きな男の子なので、女子と男子の扱いの差がはっきりしてるのも良いです。周りのキャラから見たらとてもミステリアスだろうなと思います。

ーー栄二、アイリのほか、ロキさんやフィーリア、マギサなどフックのあるキャラクターに満ちた本作ですが、その中からあえてひとり、お気に入りのキャラクターを挙げるとしたら?

河和:レアです。なんだかんだとキッドと一番相性が良いです。最近ツンデレのツンが全くなくなってデレデレですが、そこもまたいいです。

さとう:アイリはキラキラしてて素直でかわいいですし、フィーリアは王者の風格と女性として扱われた時のギャップがいいですが、あえて一人推すならマギサです。キッドにくっついてくる小動物感と全体を把握しながら配慮ある性格が、押しの強いキャラたちの中で、自分的に心を癒してくれる存在です。

ーー原作ファンはニヤニヤするところですが、”キッド”がこれからどんなことを成し遂げ、アイリを中心とする異世界の仲間たちとどんな関係を築いていくか楽しみになります。これから漫画版『ワールドオーダー』に触れる読者に向けて、見どころを教えてください。

河和:小説では一部キャラしか絵がないために自分でイメージするしかできなかった各キャラクター達が、はっきりと躍動感あふれる絵として見られるのは小説を読んだ方でも非常に楽しめると思います。中でも1巻の挿絵では見られなかった、アイリのあんな姿も見られますし(笑)、かわいい女の子がたくさん出てくるのは全て見どころです。

さとう:原作小説1巻の帯にもあったように「美少女ハンターと魔物を討つ!」ということで、魔物バトルも楽しく描かせていただいてます。可愛い子や面白い子もたくさん登場しますし、キッドの世界(ワールド)がどんどん広がっていく様子を一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

『ワールドオーダー』
作品URL:https://www.infos.inc/fandom/comic/hero05/

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