『北斗の拳』誕生から40年、今も続くショック! 少年たちを戦慄させたケンシロウの強さ
だれも見切ることを許さないキャラクター造形力であり、そのキャラクターたちを因縁で縛り向き合わせる関係性の構築力といったものが、『北斗の拳』を1週たりとも読み逃せない漫画にした。そうした関係性をさらに包み込むようにして、ケンシロウとラオウという北斗神拳の後継者をめぐる戦いが、本来は最強ながらも病に蝕まれ、死にゆく運命にあるトキも交えながら進んで行くのだ。引きつけられない人などいない。
こうしてストーリーを思い出しただけでも、感情を揺さぶられるだけの強さがある作品だが、改めて手に取って読み始めると、先の展開が分かっていても、ケンシロウの強さに目を奪われ、ラオウの迫力に頭を揺さぶられ、トキの優しさに心を洗われるところがある。レイの最後に改めて涙し、雲のジュウザのカッコ良さにやはり我流の無形こそが最強なのだと知った口を叩きたくなる。そんな再読性が、40年を経てなお新装版が売れる理由になっている。
それはアニメにも言える。漫画とはまた違ったアクションを、神谷明の演じるケンシロウの凄みを帯びた喋り声なり、技を繰り出す時の叫声とともに味わえる。次の展開を確かめようと次を見ないではいられなくなる。
その声が、新作アニメプロジェクト『北斗の拳 FIST OF THE NORTH STAR 』では新しいキャストに替わるという。以前にも子安武人がケンシロウを演じたOVA『新・北斗の拳』が作られ、俳優の阿部寛がケンシロウを演じた映画とOVAによるシリーズ『真救世主伝説 北斗の拳』が作られたが、今回は改めて原作の魅力を最新の技術で描き直していくという。
首が飛び内蔵が吹き出るようなハードな描写はテレビアニメでは御法度だったが、今回のアニメではどうなるのか。そしてケンシロウは誰が演じるのか。新作『映画シティー・ハンター 天使の涙』で冴羽りょう(けもの編に寮)を演じ続ける神谷明への敬意は抱きつつ、今の時代なら誰がケンシロウに相応しいのか、誰ならラオウの迫力を出せるのかを考えたくなる。
イケメン声で人気だった神谷明が、1982年から始まった『キン肉マン』でコメディタッチの演技を見せ、そして『北斗の拳』で戦いにあけくれる拳法使いという超硬派なキャラクターを演じて、幅を広げた過去がある。今の人気男性声優たちの中から誰がそうした挑戦を行い、そして結果を出すのか。リメイク版の『うる星やつら』で神谷明から面堂終太郎の役を継いだ宮野真守ならあるいは……。発表が今から楽しみだ。
■関連情報
『北斗の拳 新装版』第1巻・第2巻
原作/武論尊 漫画/原哲夫
半型:B6判
定価:990円(10%税込み)
発行・販売:コアミックス
※第3巻・第4巻は9月20日発売予定
・40周年特設サイト:
https://hokuto-no-ken.jp/40th/anime40fons
©武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会
©武論尊・原哲夫/コアミックス1983