『北斗の拳』連載開始から40周年、なぜここまで愛される? 豊富なメディアミックスとスピンオフへの寛容さ

『北斗の拳』なぜここまで愛される? 

 1980年代の人気漫画が再ブームの兆しを見せている。少年漫画黄金期と言える時代の名作が様々な企業とコラボしたり、新作グッズが登場し、歓喜している読者も多いのではないだろうか。なかでも、「週刊少年ジャンプ」黄金期の傑作漫画と言えば原作・武論尊、漫画・原哲夫の黄金コンビが手掛けた『北斗の拳』だ。

  今年はなんと『北斗の拳』が1983年の連載開始から40周年という節目を迎えることになり、『北斗の拳 新装版』の発売が決定した。まず、9月13日に第1巻と第2巻が同時発売となり、以後、続刊となる。表紙の絵もタイトルロゴも、令和の時代に相応しくリニューアルされているのが特徴だ。

  しかも、現在映画『SAND LAND』が絶賛公開中の漫画界のレジェンド、鳥山明が帯にコメントを寄せている。そのコメントが「頼もしい味方であり最強のライバル漫画」というもの。1980年代、『北斗の拳』と『ドラゴンボール』は誌上でアンケート1位の座を競い合った関係にある。そんな鳥山だからこそ書けるコメントといえよう。

  なお、第2巻の帯のコメントは荒木飛呂彦が書いており、こちらももはや説明は不要だろう。帯のコメントだけで豪華すぎるレジェンドが結集している点に、『北斗の拳』の目がヒットコンテンツとしての凄みを感じることができる。

 『北斗の拳』はなぜ現代の若者をも引き付けてやまないのだろうか。それは連載終了後も積極的にメディアミックスを展開してきたことにあるだろう。特に、コアミックスが単行本を出し始めてからはその傾向が顕著である。なんと、令和の時代に『北斗の拳』の完全新作アニメの制作が決定している。その勢いはとどまるところを知らない。

  そして、もうひとつ重要なポイントは、これだけの名作漫画でありながらスピンオフ作品に対して異様なほど寛容であることだろう。同時代の漫画でも類例がないほどである。新装版と同時に『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』第5巻も発売されるので注目したい。こちらは、「北斗の拳」と「異世界」のスピンオフ漫画の最新巻で、トキに激似(!?)の男、トルーキンが登場する。

  コアミックスからは既に、『北斗の拳』のスピンオフ漫画が複数出ている。原哲夫の超人的な作画密度を誇る絵は、『北斗の拳』のシリアスな世界観を引き立てる凄みのある作風だ。この絵柄をもとにギャグタッチのスピンオフ漫画を描いても、不思議とマッチするし、しっかりと笑いがとれるのが驚きである。こうした作品が発表され続けていることも、『北斗の拳』の大いなる魅力と言えよう。

▼DATA
『北斗の拳 新装版』第1巻 第2巻
原作/武論尊 漫画/原哲夫
1話試し読み:https://catalog.coamix.co.jp/hokuto-ultimate/

『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』第5巻
原案/武論尊・原哲夫 原作/錦ソクラ 作画/なっとうごはん
1話試し読み:https://catalog.coamix.co.jp/isekai-amiba/

 ■書誌情報
『北斗の拳 新装版』第1巻・第2巻
原作/武論尊 漫画/原哲夫
半型:B6判
定価:990円(10%税込み)
発行・販売:コアミックス
※第3巻・第4巻は9月20日発売予定

・40周年特設サイト:
https://hokuto-no-ken.jp/40th/anime40fons

©武論尊・原哲夫/コアミックス, 「北斗の拳」製作委員会

©武論尊・原哲夫/コアミックス1983

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる