「JR東海」人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とのコラボが大人気 担当者が語る成功の秘訣は、”地元”との緊密さ
JR東海は鉄道とアニメを絡めた企画を数々手掛けているが、その勢いが近年特に顕著である。そのなかでも特に話題になっているのが『ラブライブ!サンシャイン!!』とのコラボキャンペーンではないだろうか。多くのアニメファンの間で評判を呼び、このキャンペーンを機にアニメの聖地、静岡県沼津市を訪れる人も増えているようだ。
さて、JR東海といえば、日本の象徴である東海道新幹線を運営している巨大な鉄道会社である。失礼を承知で言えば、真面目な会社というイメージが強く、アニメコラボはかなり社風と異なるような…… 気がしてしまう。ところが、なんと豊橋駅ではライトノベル『負けヒロインが多すぎる!』とコラボするなど、その勢いはとどまるところをしらないのだ。 なぜ、JR東海がアニメコラボを手掛けるようになったのだろう。大きな話題になっている『ラブライブ!サンシャイン!!』とのコラボキャンペーンについて、仕掛け人の一人であるJR東海の出川ゆかりさんに企画実施に至るまでの経緯をうかがった。
JR東海がアニメ企画を手掛ける理由
――出川ゆかりさんが『ラブライブ!サンシャイン!!』の企画にかかわったきっかけを教えてください。
出川:私が所属する需要創出グループは、昨年7月1日にコロナ禍がきっかけでできた部署で、新幹線に多くのお客さまに乗っていただく企画をつくる目標があります。私は昨年の4月に育休があけて職場に復帰しましたが、最初に担当した仕事がこの『ラブライブ!サンシャイン!!』の企画でした。
――『ラブライブ!サンシャイン!!』の前にも、JR東海さんはアニメ関係の企画を手掛けています。こうした企画が増えたのは、いつ頃からなのでしょうか。
出川:以前も『ゆるキャン△』とのコラボなど、実はいろいろ行われているのですが、より積極的になったのは2021年11月からはじまった「推し旅アップデート」からだと思います。これは、コロナ禍により、お客様自身が参加したい応援したいと考えている「推し」のイベントが中止され、リアルな体験がしづらい状況が長く続いていた状況を踏まえて、お客様お一人お一人がご自身の「推し」に会いに行く旅、すなわち「推し旅」を、エンターテイメントや観光など各業界の皆様にご協力いただき、新しい内容にアップデートして「EX 旅のコンテンツポータル」にご用意したものです。
――サイトを拝見させていただきましたが、アニメ以外にも様々な「推し旅」の提案があるんですね。
出川:アイドル、スポーツなど、目的はさまざまです。みなさまそれぞれの「推し」に会いに行く旅をしていただきたい、また当社として様々な新しさを追加してお客様の旅をもっと楽しいものにしていきたいという思いを込めて、「推し旅アップデート」と名付けました。
――先ほどのお話にもありましたが、こうした企画がはじまったのはコロナ禍も影響しているとのことですが、実際に私の周りでもしばらく旅行に出かけていないという人がたくさんいます。
出川:長引くコロナ禍で旅に出るきっかけを見つけづらくなった、という声はお客さまからも寄せられていました。そこで、我々が旅の目的となるコンテンツを作って発信し、旅のきっかけづくりをお手伝いできればというのが企画の趣旨です。
――その一環で『ラブライブ!サンシャイン!!』の企画を立ち上げるに至ったわけですか。
出川:『ラブライブ!サンシャイン!!』はご存じの通り、沼津でも知名度が非常に高く、じつは制作側からも以前から何かできないかという打診はあったんですよ。そんなとき、私が「推し旅」の企画に関わることになったタイミングで『ラブライブ!スーパースター!!』のアニメを見始めていて、その流れで『ラブライブ!サンシャイン!!』も見てしまい、ハマってしまったのです。 ――出川さんがアニメにハマったことがきっかけにあったんですね。
出川:作品には熱いテーマがあり、青春も描かれています。見ていると勇気を貰えるアニメですから、企画をしたら面白いと思いました。それに『ラブライブ!』シリーズの舞台の多くは東京に集中していますが、『ラブライブ!サンシャイン!!』は弊社の駅がある沼津がメインですから、いろいろな仕掛けが存分にできると考えたのです。